こんにちは😊公務員のライトです!
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今回は、【公務員試験の最新時事:COP】について、ポイントを解説していきます。
目次
【公務員試験の最新時事】COPとは
COPは、『締約国会議(Conference of the Parties)』の略で、「気候変動枠組条約」の加盟国が、地球温暖化を防ぐための枠組みを議論する国際会議です。1995年から始まった取り組みで、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って中止された2020年を除き、毎年開催されてきました。
気候変動枠組条約の最終的な目標は、地球温暖化の防止のために大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることです。
全締約国には、温室効果ガスの排出及び吸収の目録の作成と定期更新、具体的対策を含んだ計画の作成・実施、目録及び実施した又は実施しようとしている措置に関する情報を締約国会議(COP)へ送付が義務付けされています。さらに日本などの先進国には、より具体的な温室効果ガス排出に関する規制が設けられています。
【公務員試験の最新時事】COPの歴史

2022年までにCOPは27回開催されてきました。COPの歴史の中でも重要な決定事項に、「京都議定書」と「パリ協定」があります。それぞれを紹介します。
COP3:京都議定書(1997年)
COP3で、温室効果ガスの削減目標を定める京都議定書が採択されました。具体的な内容は、2008年から2012年までの期間中に、先進国全体の温室効果ガス6種の排出量を、1990年比で少なくとも5%削減することを目標として定められました。また、2013年から2020年までの7年間が「第二約束期間」として設けられ、各国に排出削減量目標が設定されました。つまり、2020年までの温暖化対策の目標を定めたものが、京都議定書ということです。
京都議定書についてはいくつかの課題が指摘されています。中でも、2018年時点で二酸化炭素排出量第1位の中国、第3位のインドは、具体的な排出削減目標が設定されていない点、世界第2位の二酸化炭素排出量(2018年)となっているアメリカは、途中で離脱した点が大きな課題です。
COP21:パリ協定(2015年)
COP21で、温室効果ガス排出量削減目標の策定義務化、進捗調査などに法的拘束力を持たせたパリ協定が採択されました。パリ協定では、2020年以降の地球温暖化対策について定められています。具体的には、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて2℃より低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることを目標としています。
京都議定書と大きく異なるのは、先進国だけでなく、途上国にも温室効果ガスの排出削減を求めています。
アメリカは当初署名していたものの、2019年に協定離脱を発表しましたが、2021年に再署名し、復帰したことも話題になりました。

【公務員試験の最新時事】COP26:グラスゴー気候合意の内容
COP26は、2021年にスコットランドのグラスゴーで開催され、石炭火力発電を段階的に削減し、非効率的な化石燃料補助金を段階的に廃止する内容が盛り込まれた、「グラスゴー気候合意」が採択されました。
グラスゴー気候合意の内容は大きく3つに分類できます。以下で詳しくみていきましよう。
1.5℃の目標
開催国である英国政府が主張していた「1.5℃の目標」の表現については、「1.5℃に制限する努力の追求を決意」として残りました。パリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」を目標にしていたため、一歩前進した形といえます。
しかし、各国が約束した取り組みの内容では、1.5℃の目標達成には不十分であり、仮にすべての約束を実現・達成したとしても2.4℃上昇すると試算されていることから、さらなる削減努力が必要となります。
石炭火力発電の廃止
当初は「石炭火力発電を”フェーズアウト”(段階的に廃止)する」という文言が盛り込まれていましたが、インドが「石炭火力発電を”フェーズダウン”(段階的に削減)する」という表現を提案し、中国や石炭に依存する途上国も元々石炭火力の撤廃に反発していたこともあり、「フェーズダウン」の言葉が採用されました。
石炭火力の削減の具体的な方法については、化石燃料補助金を廃止する「努力を加速する」ことで世界各国が合意しました。
炭素市場取引(カーボンマーケット)
そもそも炭素市場の目的は、他国による排出削減のオフセットクレジットを購入することで、各国が削減目標を部分的に達成できるようにすることです。COP26でのグラスゴー気候合意では、二国間および国連の市場での排出権取引の規則を定めました。
問題点は、二国間クレジット制度と国連が発行するクレジットに関して、クレジットを販売した国(削減した国)とクレジットを購入した国の両方で削減実績をダブルカウント(二重計上)することがありうることです。このダブルカウントを防ぐために、クレジット取引の契約の際に、他の国への販売を許可するか、自国の気候目標にカウントするかを決定し、他の国への販売を許可した場合、クレジットを販売した国は排出量を国の集計に追加し、クレジットを購入した国は排出単位を差し引くことになりました。
ここで、オフセットクレジットとは、直接削減できないCO2の排出分を、植林やクリーンエネルギー関連の事業などで相殺するカーボン・オフセットに用いるために発行されるクレジットのことです。

【公務員試験の最新時事】COP26後の日本の対応
日本は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2030年までに2013年度比46%の削減を表明し、それに向けて3つの計画を打ち出しています。1つ1つみていきましょう。
再生可能エネルギーの活用/エネルギーの効率化
地域社会にもメリットのある再エネの拡大を進めていく活動を行ったり、住宅やビルの省エネをすすめていく活動を行うことで目標を達成するようにします。
産業
水素や蓄電池や社会実装への投資を行うことで目標を達成するようにします。
地域脱炭素ロードマップ
COP26では、新しい気候合意が採択され、「石炭火力の削減」という個別具体的なところまで議論がされたことから、日本では、地域脱炭素先行地域での脱炭素化に注力することで目標を達成するようにします。
【公務員試験の最新時事】COP27
11月6日(日)から11月20日(日)、エジプト(シャルム・エル・シェイク)において、COP27、京都議定書第17回締約国会合(CMP17)、パリ協定第4回締約国会合(CMA4)、科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)及び実施に関する補助機関(SBI)第57回会合が開催されました。
COP27では、気候変動対策の各分野における取組の強化を求める「シャルム・エル・シェイク実施計画」、2030年までの緩和の野心と実施を向上するための「緩和作業計画」が採択されました。加えて、ロス&ダメージ(気候変動の悪影響に伴う損失と損害)支援のための措置を講じること及びその一環としてロス&ダメージ基金(仮称)を設置することを決定するとともに、この資金面での措置(基金を含む)の運用化に関してCOP28に向けて勧告を作成するため、移行委員会の設置が決定されました。今回の会合を一言でいうと、気候変動により「損失と損害」を受けた国々への支援を目的とする基金を創設です。
COP27での結果の概要を外務省から「国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27) 結果概要」として発表されたので、主な内容を以下にまとめていきます。
COP・CMA全体決定「シャルム・エル・シェイク実施計画」
「シャルム・エル・シェイク実施計画」では、科学的知見と行動の緊急性、野心的な気候変動対策の強化と実施、エネルギー、緩和、適応、ロス&ダメージ、早期警戒と組織的観測、公正な移行に向けた道筋、資金支援、技術移転、パリ協定第13条の強化された透明性枠組み、グローバル・ストックテイク(GST)、パリ協定第6条(市場メカニズム)、海洋、森林、非国家主体の取組の強化等を含む内容が決定されました。

緩和作業計画
2030年までの緩和の野心と実施を緊急に高めるための「緩和作業計画」が策定されました。同計画には、1.5℃目標達成の重要性、計画期間を2026年までとして毎年議題として取り上げて進捗を確認すること、全てのセクター等について対象とすること、最低年2回のワークショップの開催と報告という一連のサイクル、非政府主体の関与、緩和作業計画の成果を閣僚級ラウンドテーブルで毎年議論すること等が盛り込まれました。

パリ協定第6条(市場メカニズム)、CDM(クリーン開発メカニズム)
COP26で決定した実施指針に基づき、排出削減・吸収量の国際的な取引を報告する様式や記録システムの仕様、専門家による審査の手続き、国連が管理する市場メカニズムの運用細則、京都議定書下の市場メカニズム(クリーン開発メカニズム)の活動やクレジットのパリ協定への移管の詳細ルール等を決定しました。

気候資金
気候資金については、パリ協定に関する理解を促進するための「シャルム・エル・シェイク対話」の開始を決定したほか、グラスゴー気候合意で決定された先進国全体による適応資金支援の倍増の取組に関する報告書作成が決定されました。


【COP】出題ポイントまとめ
- COPは1995年から始まった、毎年開催されている地球温暖化を防ぐための枠組みを議論する国際会議です。
- COPはCOP3(京都議定書)とCOP21(パリ協定)で具体的な数値や目標が決定等の重要な結論が出されました。
- COP26では、石炭火力発電を段階的に削減し、非効率的な化石燃料補助金を段階的に廃止する内容が盛り込まれた、「グラスゴー気候合意」が採択されました。
- COP27では、前回のCOP26で決定した内容をより明確にする会合となりました。
【COP】過去の出題例
2019年・国家総合職大卒
国際エネルギー機関は、2018年、世界のエネルギー消費による2017年の二酸化炭素排出量は過去最大であったと報告した。排出量の削減については、COP21で採択されたパリ協定で、開発途上国を含む全ての参加国に対して温室効果ガスの排出削減の努力が求められている。(〇)
2017年・国税・財務
2015年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において採択されたパリ協定は、京都議定書に代わる温室効果ガス排出削減等のための新たな国際的な枠組みである。2016年、同協定については、世界の温室効果ガス排出量の一定規模を占めていた米国と中国が批准したほか、インドや欧州連合(EU)なども批准し、同年11月に発効した。(〇)
2019年・国家一般職
国際エネルギー機関は、2018年、世界のエネルギー消費による2017年の二酸化炭素排出量は過去最大であったと報告した。排出量の削減については、COP21で採択されたパリ協定で、開発途上国を含む全ての参加国に対して温室効果ガスの排出削減の努力が求められている。(〇)
2016年・東京都庁Ⅰ類
昨年12月に国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定
に関する記述として、妥当なものはどれか。
- 協定には、京都議定書を締結していた日本、アメリカ、EU等の先進国に加え、京都議定書を締結していなかったロシア、中国も採択に加わった。(×)
- 協定の目的として、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することが明記された。(〇)
- 協定の全ての採択国に対し、温室効果ガスの削減目標の達成が義務付けられるとともに、義務の履行を担保するための罰則規定が協定に設けられた。(×)
- 先進国は途上国に対し、温室効果ガス削減のための資金を拠出しなければならないとされ、具体的な拠出金額が協定に明記された。(×)
- 協定は、全ての採択国が各国内の手続を経てこの協定を締結した日の後30日目の日に効力を生じるとされた。(×)
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