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【国家総合職の時事】傾向や特徴を一緒に確認していこう!

    国家総合職の時事
    出題傾向や問題の特徴を紹介!

     

    こんにちは😊公務員のライトのましゅーです!
     

    国家総合職の時事の過去のテーマの分析結果や出題傾向等について紹介していきます。

    よろしくお願いします。

    4/24:2022年度の時事を追加しました。

     

    【国家総合職の時事】問題数

    ※年度によって出題の内訳は違うことがあります。
    ※大体の目安としていただければと思います。

    国家総合職は『大卒程度』と『院卒者』試験がありますが、どちらも時事は3問出題されています。

    ちなみに、こちらは出題順になっています!
    本番も戸惑わないように今のうちにチェックしておきましょう💡

     

    【国家総合職の時事】そもそも時事とは?

     

     

    【国家総合職の時事】どれくらい勉強すればよい?

     

     

     

    【国家総合職の時事】特徴・傾向

    【特徴・傾向】

    • 問題文が超長い
    • テーマが抽象的で、それぞれの肢で細かい知識を問う問題が多い(問われている知識も複雑)
    • 5つの肢は、全て違う記述であることも多い…等

    とにかく幅広い知識を深く問われるのが国家総合職の時事の特徴と言えると思います。

     

     

    【国家総合職の時事】過去問まとめ

     

    【2023年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:②

    我が国における2022年の法改正に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. 改正医薬品医療機器法が成立し、 海外でも未承認の医薬品を対象に、 早期に承認できる緊急承認制度が創設された。 通常の承認で必要な臨床試験が完了していないものについても、 有効性が 「確認」 され、 安全性が 「推定」 されれば、 無期限で承認することができる。 これにより、国内で開発された医薬品を早期に承認する現行の特例承認制度よりも更に早期に承認できるようになった。
    2. 改正外来生物法が成立し、 国内への侵入防止のため緊急に対処する必要がある、 ヒアリなどの 外来生物が付着しているおそれがあるときは、 通関後でも物品や施設の検査をしたり、 廃棄を命じたりすることができるようになった。 また、アメリカザリガニのような既に広く飼育され、 野外の個体数の多い外来生物について、 輸入、販売、 自然に放つことを禁止する一方、販売を目的 としない個人の飼育を認めるといった規制手法を導入できるようになった。
    3. 改正民事訴訟法が成立し、 民事裁判において、 訴状をオンラインで提出することが可能となったほか、口頭弁論をチャットで行うことが可能となった。 訴訟記録は裁判所が電子データで管理し、裁判所においてのみ判決書の閲覧が可能となった。 また、 裁判の審理の期間が短く、 十分に 審理ができていないという指摘を踏まえ、 当事者の申出により手続の開始から判決の言渡しまで の期間を6か月以上3年以内とする手続が創設された。
    4. 改正建築物省エネ法が成立し、2025年以降、 一戸建て住宅以外の新築の建物に断熱材の厚さや窓の構造などの省エネ基準への適合が義務付けられた。 また、改正建築基準法では、木造建築物の火災の増加を踏まえ、 大規模建築物における、 壁・柱・床などの全ての部位の木材使用を禁止とし、 耐火構造とすべき建築物の基準を強化した。
    5. 改正刑法が成立し、 刑務作業が義務付けられている懲役刑と義務付けられていない拘禁刑を一元化した禁錮刑が創設された。 また、SNS上の誹謗中傷など、 悪質な行為への対処を厳しくするため、名誉毀損罪が厳罰化され、 拘留又は科料といった法定刑が定められることとなった。

     

    【2問目】正答:①

    近年の国際情勢に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. スリランカでは、 経済危機をきっかけに、 政府の要職を一族で占めてきた政権に対する不満が高まり、 2022年7月には抗議デモ参加者の一部が大統領公邸などを占拠した。 同国は、 新型コロナウイルス感染症の感染拡大による観光業の低迷などから深刻な外貨不足に陥り、食料や燃料 などの生活必需品の不足や急激な物価上昇が進行していた。
    2. 北大西洋条約機構 (NATO) の首脳会議が2022年6月にドイツで行われた。 スウェーデンとルーマニアのNATOへの新規加盟に反対していたトルコが、 自国からの独立を目指す非合法武装組織 IRAの活動抑止などの要求が受け入れられたとして加盟支持に転じたため、両国のNATO 加盟が決定した。
    3. 英国では、 2022年に保守党から労働党への政権交代があり、 10月に労働党のスナク党首が新首相に就任した。 スナク氏は、EUから離脱した保守党政権と同様に、 EU に対して強硬姿勢を取る一方、 外交・安全保障政策については対露 対中協調方針を示した。 さらに、インフレ抑 制や物価高対策として法人税減税などの大型減税策を打ち出した。
    4. 米国のペロシ下院議長が2022年8月に台湾を訪問した。 米国下院議長が台湾を訪問するのは初めてのことであり、ペロシ氏は林鄭月娥(リンテイゲツガ)総統らと会談し、 台湾の独立を支援する米国の姿勢を示した。 さらに、ペロシ氏の訪問からわずか10日ほどでハリス副大統領が訪台したため、中 国はこうした動きに強く反発し、 台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。
      ユンソンニョル
    5. 韓国では、2022年3月に大統領選挙が行われ、 革新系最大野党「共に民主党」の尹錫悦(ユンソンニョル)前検事総長が当選し、5年ぶりに政権交代が実現した。 尹大統領は、 北朝鮮の非核化を南北関係改善の前提に据えた前文在寅(ムンジェイン)大統領の政策を厳しく批判し、 北朝鮮への融和姿勢を示した。 また、大統領府を青瓦台から景福宮に移転し、 青瓦台を市民に開放した。

     

    【3問目】正答:⑤

    自然災害や防災などに関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 日本列島は、プレートの沈み込み帯に位置し、この沈み込み帯はホットスポットと呼ばれ、活火山が多く分布している。太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界に位置する南海トラフには奄美群島の火山があり、その一つの西之島の火山では、2021年に軽石の噴火を伴う大噴火が起こり、太平洋沿岸に大量の軽石が漂着して漁船の運航などに悪影響を及ぼした。
    2. 太平洋で発生する熱帯低気圧のうち、気圧が990hPa未満になったものを台風という。台風の接近に伴い、気象庁が大雨警報を出すことがあり、この場合、災害対策基本法に基づき、都道府県知事は鉄道会社に対して、計画運休の実施を指示することになっている。2022年に台風は日本に5回上陸し、その度に計画運休などで鉄道の運行が一時休止した。
    3. 線状降水帯は、次々と発生する高積雲(羊雲)が連なって集中豪雨が同じ場所でみられる現象で、梅雨前線の停滞に伴って発生する梅雨末期特有の気象現象である。2021年7月、静岡県に線状降水帯が形成されて発生した「熱海土石流」では、避難所に指定された建物が大規模な崖崩れにより崩壊するなどして、避難所の指定の在り方が問題となった。
    4. 巨大地震は、海洋プレート内で起こる場合が多い。地震波のエネルギーはマグニチュード(M)で示され、マグニチュードが1大きくなるとそのエネルギーは4倍大きくなる。2022年にM8.0を超える地震は我が国周辺では発生しなかったものの、同年1月に南太平洋のトンガで発生したM8.0を超える地震により、太平洋沿岸などに10m以上の津波が押し寄せた。
    5. 我が国において、防災気象情報は、災害の発生の危険度と取るべき避難行動を理解できるように5段階の警戒レベルを用いて伝えられている。2021年に災害対策基本法が改正され、土砂災害などの災害が発生するおそれが高い状況において、市町村から警戒レベル4として発令されていた「避難勧告」と「避難指示(緊急)」の2種類の避難情報が、「避難指示」に一本化された。

     

    財政事情 正答:①

    我が国の財政事情に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。

    1. 令和4年度の一般会計当初予算の規模は、 社会保障関係費や国債費等の増加に伴って、 前年度当初予算を上回っている。 また、 新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すため、 変異株による感染拡大等、 予期せぬ状況変化に備え、 前年度に引き続き5兆円の新型コロナウイル ス感染症対策予備費を計上している。
    2. 令和4年度の一般会計当初予算における歳出のうち、 防衛関係費についてみると、 防衛装備品の全般にわたり、 重要度の低下した装備品の運用停止や長期契約の活用等によって2兆円超える効率化・合理化効果を実現した一方で、緊迫化する国際情勢を踏まえ、新たに南西地域の島嶼部の防衛のほか、 宇宙サイバー等の新領域の能力強化を図るための予算を計上したことから、前年度当初予算より大幅に増加し10兆円を超える規模となっている
    3. 令和4年度の一般会計当初予算における歳出のうち、 社会保障関係費についてみると、 看 護・介護・保育などの現場で働く職員の処遇改善を図るための診療報酬の改定や薬価の引上げの 影響により、 前年度当初予算と比較して 5% 以上増加し、 初めて35兆円を超えている。 また、 一般歳出に占める社会保障関係費の割合は、6割を超える水準となっている。
    4. 令和4年度の一般会計当初予算における歳入のうち、租税及び印紙収入についてみると、 法人税は、 前年度当初予算と比較して減少したものの、 消費税や所得税のほか、 自動車重量税やいわゆるガソリン税に含まれる揮発油税による税収の増加から 「その他」 が増加したことに伴って、 租税及び印紙収入の規模は前年度当初予算と同程度となっている。
    5. 令和4年度の一般会計当初予算における歳入のうち、 公債金についてみると、予算の質の向上の観点から効率化・合理化を進めた結果、 特例公債は前年度当初予算と比較して10兆円程度減少した。 一方で、 老朽化の進んでいる社会資本の維持管理・更新の費用を確保する理由から建設公債は増加しており、 令和4年度の一般会計当初予算における公債依存度は 40% を超える 水準となっている。

     

    【2022年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:

    近年の交通機関や探査機等をめぐる動きに関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. 超電導リニアは、磁気力によって車両を浮上させ、高速で走行高速で走行する。我が国では、リニア中央新幹線が計画され、現在、品川・名古屋間で建設工事中である。しかし、活火山が連なる中央ア ルプス(木曽山脈)のトンネル工事に対して、防災面の懸念から、中央アルプスの東側の静岡県はルートの変更を、西側の岐阜県は大深度地下のトンネルへの変更をそれぞれ提案した。2021年末現在、この区間の建設工事は中断され、国土交通省が解決に向け協議を進めている。
    2. 人間の活動から発生する排出物を限りなくゼロにすることを目指しつつ最大限の資源活用を図り、持続可能な経済活動を展開するという理念はゼロエミッションといわれる。また、走行時に二酸化炭素を排出しない電気自動車や、水素を燃料とする燃料電池自動車などは、ゼロエミッション車と呼ばれる。欧州連合(EU)では、将来的に新車販売は、ハイブリッド車を含む内燃機関車については禁止し、ゼロエミッション車に限定する方針が示されている。
    3. 欧米では、旅客機として初めて音速を超える速度で成層圏を飛行できる、次世代飛行機が開発され、世界各都市間のネットワークの形成が期待されている。成層圏では空気抵抗が少なく航空機にかかる揚力も小さいことから、機体の軽量化を行う必要がない。高出力に改造した従前のジェットエンジンと成層圏でも爆発事故を引き起こしにくいヘリウムを燃料とするエンジン燃焼器を併用する方向で、我が国の企業も参画し、米国を中心として新たに開発が進められている。
    4. 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の有人潜水調査船の「ちきゅう」は、日本最南端に位置する南鳥島の排他的経済水域(EEZ)の海底に、リチウムやチタンなどのレアアース(希土類元素)が大量に存在していることを発見し、経済産業省を中心に商業化の検討が進められている。南鳥島周辺はマリアナ海溝の北端の西側に位置し、水深が深く従来の調査船では探査が難しかったが、有人での迅速・的確な探査が鉱脈を発見することにつながった。
    5. 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機の「はやぶさ2」は、小惑星のイトカワの岩石を採取後、地球へ向けて進路を取り、地球上空の国際宇宙ステーション (ISS)にて岩石のサンプルを受け渡した。「はやぶさ2」は地球に帰還することなく、火星の衛星の探査のため、再び地球を離れた。 2021年末現在、「はやぶさ2」は太陽電池を主電源とし、スイングバイ航行を利用して、火星へスイングバイトに向けて航行している。

     

    【2問目】正答:

    近年の各国の動向に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. ベラルーシでは、四半世紀以上にわたり長期政権を築いているルカシェンコ大統領が勝利を収めた2020年の大統領選挙の後に、各地で抗議デモが起こった。これを受け、我が国はベラルーシ当局に対し、民主主義の原則を確保することと暴力を行使しないことを求めた。また、2021年8月には、東京2020オリンピック競技大会のため来日したベラルーシ代表の選手が、同国当局からの圧力で本人の意思に反した帰国を迫られる事態も発生した。
    2. 中国では、いわゆる一人っ子政策が廃止され、2020年以降は第3子までの出産が認められている。一人っ子政策は2015年末に緩和され、条件付きで第2子までの出産が認められていたが、深刻な少子化にはいまだ歯止めがかかっていないことがその背景にある。一方、中国では高齢化も進みつつあるものの、そのスピードは世界水準よりも遅く、高齢者人口の割合は、2021年末現在においては世界平均を下回っている。
    3. ミャンマーでは、国軍が国民民主連盟(NLD)政権の幹部らを拘束し、国家権力を掌握したが、その直後、アウン・サン・スー・チー氏が亡命先である英国で亡命政権を樹立し、同軍への抵抗を続けている。同様に、ミャンマー市民も国軍への抗議デモを繰り返しているが、武力制圧を図る同軍との間で内戦状態となっている。これを受け、2021年4月に開催された G20首脳会合では、暴力の即時停止を含めた五つの項目が合意された。
    4. 2021年7月、ベネズエラでは巨大地震が起こり、多数の死者・行方不明者が出た。救助活動が遅れたことに、かねてより問題になっていた政治の腐敗への不満が重なり、同国のモイーズ大統領は同年8月に暗殺された。国民は困窮を極め、主に他の中南米諸国に移民希望者として押し寄せたが、米国のバイデン大統領は人道的な理由からいち早く移民希望者の受入れを発表し、国内外より多くの賞賛を浴びた。
    5. 2021年9月、我が国は、米国、オーストラリア、インド、シンガポール、韓国との間で首脳会合を行い、インド太平洋地域の安全と繁栄のため、「インド太平洋における協力のための戦略」の実現に向け取り組んでいくことを再確認した。これは、中国が進める経済圏構想「一帯一路」に 対し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を通じて、インド太平洋地域の途上国における質の高いインフラ構想の実現を目指すものである。

     

    【3問目】正答:

    東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. オリンピック競技大会メダルのデザインは、裏面は競技大会ごとに異なるが、表面は国際オリンピック委員会により、コロッセウムに立つ勝利の女神ヴィーナス像の要素を含めた構図と規定されている。また、メダルは 2012年のロンドン大会以降いわゆる都市鉱山から作ることとされており、今回も、携帯電話等のレアメタルを原材料として、日本国内の民間企業で鋳造された。
    2. 東京2020オリンピック競技大会とパラリンピック競技大会の開会式当日、航空自衛隊のブルーインパルスは、国立競技場の上空に、五輪マークと赤・白・黄の3色から成りパラリンピックのシンボルマークであるスリーアギトスを、カラースモークでそれぞれ描いた。ブルーイルンバルスはこのほか、選手団を受け入れたホストタウンに対し敬意と感謝の意を表するため、両大会期間中、日本全国のホストタウンの上空を飛行した。
    3. 東京 2020 オリンピック競技大会で復活・追加された競技は、野球・ソフトボール、スポーツクライミング、空手、サーフィン、スケートボードの5競技であった。このうち日本は、復活した競技である野球・ソフトボールで金メダルを獲得したほか、新たに追加されたスケートボードと空手でも金メダルを獲得した。同大会で日本が獲得した金メダル数とメダル総数は、共に史上最多となった。
    4. 東京2020オリンピック競技大会は、新型コロナウイルス感染拡大によって延期となり、2021年に開催された。東日本大震災から10年の節目となることを理由として「復興五輪」と位置付けられ、岩手県、宮城県、福島県、茨城県においては有観客で開催され、北海道と静岡県では学校連携による観戦のみが行われた。一方、東京2020パラリンピック競技大会では、新型コロナウイルスワクチン接種証明書を提示をした者に限り、現地での観戦が認められた。
    5. パラリンピック競技大会は、国際障害者年に初めてオリンピックと同年同都市の開催が提唱されたことを受け、障害者の権利保障を目的に始められた。東京2020パラリンピック競技大会の正式種目であるボッチャは、重い障害がある者向けに日本で考案された競技であり、赤と青のボールを投げ合い、白い的球(ジャックボール)にいかに近づけられるかを競うものである。

     

    【2021年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:①

    近年の我が国に関連する科学や科学技術の動向についての記述として最も妥当なのはどれか。

    1. ニホニウム(Nh)は、我が国の研究グループが発見した原子番号113番の元素である。この元素は、加速器による実験で核融合反応により合成に成功したものであり、元素名を決める国際純 正・応用化学連合により、発見を認定された。アジアで発見された初めての新元素であり、平成 28年に日本にちなんだ名称に決定された。現在、高等学校で使用している教科書に記載されている元素の周期表にも、Nhが明記されている。
    2. 地質学では、地球史を「地質時代区分」に分けており、それぞれの時代を典型的に示す地層が存 在する地名にちなんで命名されている。古生代末期を示す時代に、まだ命名されていない地質時 代があり、我が国の研究グループは、千葉県のある地域の地層が、絶滅寸前の三葉虫やカヘイ石 が古生代末まで生存していたことを示す典型的な地層であることを証明した。この地質時代は、 国際地質科学連合の審査を経て、令和2年にチバニアンと命名された。
    3. コロナウイルスやインフルエンザウイルスは、人畜共通感染症を引き起こすDNAウイルスで、変異が大きく、新型コロナウイルスや鳥インフルエンザウイルスは、ヒトへの感染率や致死率が高い。マラリア治療薬のレムデシビルの開発に貢献した功績で平成 27 年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智らは、この薬が新型コロナウイルス感染症にも効果があることを突き止め、同感染症の最初の治療薬として、日本政府は世界で初めて承認した。
    4. 我が国の研究グループが開発したスーパーコンピュータ「富岳」が、令和2年に計算速度で我が国としては初めて世界一となった。計算速度に関しては、これまで、米国とドイツが首位を争ってきたが、量子コンピュータ技術の開発が進み、我が国が世界に先駆けて次世代機としてその技術を投入したことが計算速度世界一につながった。この「富岳」は、新型コロナウイルスの飛沫感染のシミュレーションや富士山の火山噴火予知にも利用されている。
    5. 我が国ではレアメタルの産出は少ないが、レアメタルの代替材料の開発を盛んに行っており、ネオジムやジスプロシウムなどの材料を利用した製品の開発に成功し、これらの製品が世界の市場での生産シェアの上位を占めるようになった。しかし、これらの材料は軍事転用が容易であることから、日本政府は、令和元年からその管理を強化することとし、その一環として、ネオジムなど3品目の韓国向けの輸出管理を厳格化した。

     

    【2問目】正答:①

    近年の世界の宗教等に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. 2020年、米国は、イスラエルとパレスチナの中東和平案を発表し、一定の条件の下でパレスチナに独立国家の建設を容認した。一方で、ユダヤ教、キリスト教、イスラームの共通の聖地とされるエルサレムを「イスラエルの不可分の首都」と位置付けるなど親イスラエル色が濃い内容であったため、パレスチナ市民の抗議行動を招き、トルコやイランなどもこの和平案を非難する声明を出した。
    2. 2019年、ローマ教皇フランシスコが日本を訪問し、核兵器廃絶などを訴えた。教皇の訪日は、 前教皇のヨハネパウロ2世以来38年ぶりで、教皇の代替わりに際し訪日するのが慣例となっている。教皇とは、キリスト教全体における最高指導者を指し、カトリック、プロテスタント、正教会のいずれかから選出されるが、フランシスコ教皇は初めて東欧出身のプロテスタントとして教皇に選出された。
    3. 近年、日本では宗教に関連する遺産が世界遺産に登録されるなど、宗教的文化財への注目が高まっている。2017年に隠れキリシタン独特の文化伝統の証拠である「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が世界遺産に登録されたことに続き、2019年に百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録された。これらの古墳群の盟主的位置を占める大仙陵古墳は、中国伝来の仏教の影響を受けた飛鳥文化を代表する遺跡として知られている。
    4. 中国西部の新疆ウイグル自治区には、仏教を信仰するウイグル族が多く居住しており、中国西南部のチベット自治区には、イスラームを信仰するチベット族が多く居住している。中国当局によるウイグル族を始めとする少数民族などに対する締め付けが続いており、国際社会からは中国の人権状況を憂慮する声が上がっている。中国当局は内モンゴル自治区に対しても統制を強め、 2020年には、同自治区の公立学校におけるスカーフの着用禁止を決定した。
    5. 近年、米国の民主党を支える勢力の一つとして、福音派が極めて重要な役割を担っている。聖書の記述を重視し、人工妊娠中絶や同性婚への反対を主張する福音派は、カトリック教会と協力しその信者を民主党支持に動員している。一方、共和党は、福音派に敵対的な立場をとっており、2017年のトランプ大統領の就任演説において、彼は歴代大統領として初めて聖書に手を置きながらの就任宣誓を拒否した。

     

    【3問目】正答:④

    近年の我が国のデジタル化に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. キャッシュレス決済とは、現金以外で代金を即時決済する方法の総称であり、近年普及した電子マネーやスマートフォン決済などを指すが、即時決済でないクレジットカードなどは含まれな い。国民への浸透のため、2019年から2020年にかけて、政府はキャッシュレス決済による支払いに対して消費税を軽減するキャンペーンを展開したが、その中でスマートフォン決済の一つがセキュリティの脆弱性により不正利用される事件が発生し、中断された。
    2. クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人に企画への資金提供を呼び掛け、趣旨に賛同した人から資金を集める方法をいう。単なる寄付とは性格を異にし、出資者には企画の利益からの配当や、モノやサービスなどの特典といったリターンが発生する。民間では幅広く利用されているが、国や自治体では出資者へのリターンの発生が公共性の観点や「ふるさと納税」との重複から問題視され、利用が制限されている。
    3. 近年ではインターネットの普及により、誰もが容易に情報の発信者となることが可能になっている。そのような中、画像加工アプリなどで自らをより良く見せた「盛れてる写真を投稿することをデジタルタトゥーと呼ぶ。デジタルタトゥーは主に若年女性に人気であるが、いわゆる炎上の原因となったり、個人を特定され犯罪に利用されるなどの被害が発生している。これに対し、国に投稿の削除を求める訴訟も提起され、表現の自由との関係が問題となっている。
    4. 新型コロナウイルスへの対応において、行政サービスにおけるデジタル化の遅れなどの課題が浮き彫りとなったことから、政府は、2020年秋に、デジタル庁の設立の方針を示した。同年12月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」では、デジタル庁は、政府情報システムの統合・一体化の促進や、マイナンバーカードの普及の加速化等の推進といった業務を司ることとされている。
    5. スマートシティは、近年登場した新しい概念で、定義が確立されていないが、主に「都市構造を空間的に集約し、郊外への拡大を抑制するコンパクトな都市のあり方」といった意味で用いられる。我が国でも、5G 通信が一般化した社会であるSociety 5.0に向けてその実証実験が行われているが、その主体は国や自治体であり、収益性の観点から参入に慎重な企業などの民間部門をどのように引き込むかが課題となっている。

     

    【2020年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:⑤

    宇宙開発等に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. 2019 年、インドは、世界で初めて月の裏側への着陸に成功し、月面探査を行った。月の裏側は、 月が自転していないため常に太陽の光が降り注ぐ過酷な環境であり, これまで着陸しての探査は行われてこなかった。また、同年、中国は、米国、英国、インドに次いで世界で4番目の月面着陸を目指したが、失敗に終わった。
    2. 2019 年、宇宙空間における軍事的優位性の確保のため、米国は、陸軍・海軍に次ぐ第3の軍として宇宙軍を新設し、今後、月面に宇宙軍が活動するための施設整備を行うこととしている。また、同年、我が国は自衛隊に宇宙領域専門部隊を新設し、情報収集衛星を用いてスペースデブリと呼ばれる流星群が人工衛星に与える影響を監視することとしている。
    3. 2019 年、我が国の民間企業が、世界で初めて民間単独でロケットを宇宙空間に到達させ、打ち上げに成功した。このロケットは、大型化・高性能化が進む人工衛星を搭載するため、H-IIAロケットに比べて大きく、打ち上げ能力が高い。また、酸素と水素を均ーに混合させて固めた固体燃料を用いており、液体燃料を用いたロケットに比べて、精密な誘導制御を行うことができる。
    4. 2019 年、我が国の研究チームは、世界で初めて単独でのブラックホールの撮影に成功した。ブラックホールが発する特殊なX線を、日本各地の電波望遠鏡を同期させて観測し、解析することで、 ブラックホールを画像化した。この画像からブラックホールの質量を推定したところ、太陽の10倍程度であることが分かった。
    5. 2019 年、小惑星探査機「はやぶさ2 」が小惑星リュウグウヘの着陸に成功した。また、その表面に人工的なクレーターを作り、内部物質の採取を試みた。はやぶさ2は、世界で初めて小惑星から表面物質を持ち帰ることに成功した「はやぶさ」の後継機であり、小惑星リュウグウの探査を目的とし、太陽系の起源などを解明することへの貢献も期待されている。

     

    【2問目】正答:①

    オリンピックやスボーツをめぐる状況に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. ラグビーは、英国発祥のスポーツであり、ラグビーワールドカップは4年に1度開催されている。2019年に我が国で開催されたラグビーワールドカップ2019は、東日本大震災において津波の被害を受けた岩手県釜石市を含む、全国1 2 都市で行われ、決勝は、神奈川県横浜市の競技場で行われた。我が国の代表は、史上初めて1 次リーグを突破し、決勝トーナメントに進出した。
    2. オリンピック・パラリンピック競技大会の東京での開催決定を契機に、2013 年、スポーツ基本法が成立し、スポーツ庁が設置された。同法に基づき策定された「第2 期スポーツ基本計画」においては、2020 年までに、週3 日以上ウォーキングなどの運動・スポーツをする成人の割合を80 % 程度とする数値目標を定めている。2018 年度の調査によると、この目標を達成しているのは60 歳未満の者のみであり、高齢者のスポーツ離れ対策が課題となっている。
    3. 東京オリンピック・パラリンピック競技大会時の交通混雑緩和を目指し、「2020TDM (交通需要マネジメント)推進プロジェクト」が閣議決定された。これに基づき、2019 年夏には、大会本番に向け、選手が選手村と国立競技場の間を移動する時間帯に、首都高速道路の全面通行禁止や、会場周辺の一般道での自家用車の通行禁止などのテストが行われた。また、暑さ対策として、7 月と8 月の時刻を標準時より1 時間進めるサマータイム(夏時間)の導入が決定された。
    4. スポーツ団体の適正なガバナンスを確保するため、2018年にドーピング防止活動推進法が成立した。同法に基づき策定された「スポーツ団体ガバナンスコード」では、スボーツ団体とは、種目別に作られたスポーツ振興を目的とする団体とされ、中でもオリンピックの競技種目となっているスポーツ団体には、他のスポーツ団体よりも高い透明性や多様性が求められることから、外部理事の割合を25% 以上、女性理事の割合を40 % 以上とするなどの基準が定められ、基準を満たさなかった場合の罰則規定も設けられた。
    5. 2017 年に改訂された小学校及び中学校学習指導要領において、次世代に誇れるレガシー(遺産)の一つとして、オリンピックなどで活躍が期待できる次世代アスリートの発掘・育成・強化を内容とするオリンピック・パラリンピック教育が義務付けられたほか、パラリンピックの競技体験が必修とされた。また、国費では行き届きにくいスボーツ振興活動への助成を行う「beyond2020 プログラム」として、スポーツ振興くじ制度が新たに創設された。

     

    【3問目】正答:①

    人権問題等に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. 2019 年、労働施策総合推進法の改正法が成立した。この改正法では、パワーハラスメントが定義され、その防止のための雇用管理上の措置が事業主に義務付けられたほか、当該措置等の適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を厚生労働大臣が定めることとされた。また、同年に開催された国際労働機関(ILO)総会においては、ハラスメントを法的に禁止することを求める条約が採択され、労働者やインターン実習生などが幅広く保護の対象とされた。
    2. 悲惨な児童虐待事件が続いたことを受け、2019 年に児童福祉法等の改正法が成立した。この改正法では、親権者等が児童のしつけに際して叱責や体罰を行ってはならないこととされたほか、従来児童相談所が有していた介入機能と支援機能のうち、介入機能を分離して警察に移管することで、より迅速に児童の安全を確保するとともに、児童相談所が児童及びその家庭への支援に専念できる体制を構築することとされた。
    3. 性別等に基づく差別については、2019 年に公表された大学入学者選抜の公正確保等に関する有識者会議の最終報告で、合否判定において、性別等の先天的な属性に基づき一律に取扱いに差異を設けることは不適切とされた一方、居住地域等の本人が選択可能な属性に基づき一律に取扱いに差異を設けることは許容され得るとされた。これを受け、文部科学省は各大学に対して、不適切な取扱いで不合格となった学生を全員入学可能にするように求める通知を出した。
    4. 性的少数者については、我が国では国に先駆けて地方公共団体での制度整備が進んでおり、性的指向・性自認に基づく差別的な扱いを全面的に禁止するアウティングを条例で定めた地方公共団体や、同性カップルの婚姻を法的に認める条例を制定した地方公共団体がある。また、性自認が女性であるトランスジェンダーの学生の受入れを一部の女子大学が発表したことを受け、2019 年、文部科学省は全ての女子大学に対して同様の学生の受入れを求める指針を示した。
    5. アイヌは、日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族である。明治時代より、政府はアイヌを先住民族として認め、学校におけるアイヌ語教育や、伝統儀式の費用補助を通してその文化などの保護を図っていた。戦後成立したアイヌ文化振興法では、アイヌを先住民族と明記し、2019 年に成立したアイヌ新法では、漁業法等の規制の適用を除外してアイヌの人々が自由に伝統的な漁業等を行える特区が設箇された。

     

    【2019年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:②

    我が国の世界遺産等に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. 文化遺産は、歴史上又は美術上顕著な普遍的価値を有する遺跡等と世界遺産条約で定義されており、平成27年、官営八幡製鐵所や石見銀山、端島炭坑(軍艦島)を含む、明治日本の産業革命遺産が世界文化遺産に登録された。しかし、これらの遺産は、登録を契機に観光開発が進んだ結果、その顕著な普遍的価値を損なうような重大な危機に直面しているとして、危機にさらされている世界遺産リストに登録され、平成 30 年末現在、世界遺産基金から財政的支援を受けている。
    2. 平成 30 年、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産が世界文化遺産に登録された。これは、 17世紀から行われた江戸幕府の禁教令によりキリスト教が弾圧される中で、潜伏キリシタンが密かに信仰を維持した独特の文化的伝統を示す遺産群である。その中には、島原の乱で天草四郎時貞を首領としたキリシタンらが立て籠もった原城跡や、現存する我が国最古の教会である大浦天主堂が含まれている。
    3. 自然遺産は、自然の記念物で,鑑賞上若しくは科学上顕著な普遍的価値を有するもの、又は、自然の区域で、科学上、保存上若しくは自然の美観上顕著な普遍的価値を有するものと世界遺産条約で定義されている。我が国の世界自然遺産には、平成23年に登録された東京都の小笠原諸島や岩手県の平泉、 平成25年に登録された山梨県・静岡県の富士山があるほか、平成 29年には新たに、福岡県の沖ノ島が登録された。
    4. ユネスコ世界ジオパークは、地層、火山など地質学的な遺産を保護し、研究や科学教育などの場に活用するとともに、新たな観光資源として地域の振興に生かすことを目的としている。我が国に関しては、地球の磁場の逆転が最後に起きたことを示す千葉県市原市の地層が平成29年に認定されたほか、ユーラシアプレートにフィリピン海プレートが沈み込んで地溝帯を形成してい る糸魚川、世界有数のカール地形を示す阿蘇山など合計9地域が認定されている。
    5. 無形文化遺産の保護に関する条約は、無形文化遺産を保護することを目的として、国際連合により設立された基金であるユネスコの総会で採択された。我が国の無形文化遺産の登録は、自然遺産の最初の登録よりも早く、鎌倉時代に観阿弥・世阿弥父子が大成した能楽、室町時代に発展した歌舞伎や水墨画が最初に登録された。平成 29年には、我が国の伝統的な食文化である和食と、手漉和紙の技術が無形文化遺産に登録された。

     

    【2問目】正答:③

    近年の法改正等に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. 我が国の衆議院議員に占める女性の割合は5%未満であり、世界の国会議員が参加する列国議会同盟によると、この数字は2018年5月現在、193か国中最下位となっている。こうした状況の中、同年、「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が成立・施行され、国政選挙と地方議会の選挙において、政党その他の政治団体は、候補者に占める女性の割合について、3割を下回らないものとすることが義務付けられた。
    2. 社会の高齢化の進展、相続開始時における配偶者の年齢の相対的な高齢化等を踏まえ、2018年、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が成立・施行された。被相続人の配偶者は、従来、相続開始時に被相続人の居住建物に住んでいなければ、第三者に対して当該建物の居住権を主張できなかったが、同法の施行後は、相続開始時に被相続人の居住建物に住んでいなくても、自己の死亡時まで当該建物を無償で使用することができるようになった。
    3. 世界保健機関と国際オリンピック委員会は、たばこのないオリンピックを共同で推進することについて合意している。我が国では、2018年に「健康増進法の一部を改正する法律」が成立し、望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設等の類型に応じ、一定の場所以外の場所における喫煙を禁止することや、違反した場合の罰則が定められた。同法は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会までに段階的に施行されることとなっている。
    4. 2018年の国連総会において、「海洋プラスチック憲章」がまとめられ、米国を除く全ての国が署名した。この憲章に掲げられた数値目標を達成するため、我が国では同年、「海岸漂着物処理推進法の一部を改正する法律」が成立し、2030年までに、マイクロビーズの製造を禁止することや、ストローを含む一部の使い捨てプラスチック製品の流通を禁止することが決まったほか、2020年までに全ての小売店でレジ袋を有料化することが義務付けられた。
    5. 2018年、「特定複合観光施設区域整備法」が成立し、カジノが国内で解禁されることとなった。 同法は、滞在型観光の実現の観点から、カジノの認定区域数や延床面積を無制限とする一方、ギャンブル依存症を防止する観点から、全ての入場者に入場回数の制限や入場料を課すこととし ている。また、同法の成立を受け、「ギャンブル等依存症対策基本法案」が審議されたが、2018 年の通常国会では成立せず、継続審議となった。

     

    【3問目】正答:①

    近年の金融・情報通信の動向に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. キャッシュレス決済は、消費活動の効率化や外国人旅行者の利便性の向上などに寄与することが期待されている。我が国のキャッシュレス決済比率は、米国や英国などと比べて低く、2017年現在、2割程度である。2018年、経済産業省はキャッシュレス・ビジョンを取りまとめ、未来投資戦略2017で設定された2027年までにキャッシュレス決済比率4割程度を達成するという目標を、2025年開催予定の大阪・関西万博に向けて2年前倒しした。
    2. FinTechを用いた革新的な金融サービスを活用できるか否かによってデジタル・デバイドが世界規模で拡大する現象は、金融包摂と呼ばれ、2017年に開催されたG20 において、その解消が首脳宣言に盛り込まれた。また、我が国では、FinTechを応用した財務・会計領域のクラウド化は、定量的に把握することが困難であることから、政策指標には設定されていないものの、特に中小企業の業務効率化に寄与するものであると期待されている。
    3. 2016年、我が国におけるシェアリングエコノミーの市場規模が前年より縮小したことを受けて、政府はシェアリングエコノミー推進プログラムを策定した。同プログラムは、地方公共団体に対して、シェアリングサービスを利用した行政サービスの効率化などの計画策定を義務付けたものであり、2020年以降、育児・介護サービスの予約システムなど、民間企業のプラットフォームを利用した行政サービスが順次整備されるよう計画が進んでいる。
    4. 2017年に開催されたG7ルッカ外相会合での宣言において、行政機関へのサイバー攻撃は、匿名性が高く、意図せず国家間の緊張を高めるリスクがあるため、平時より多国間で連携してサイバー空間の国際標準化を推進するスマートコントラクトの重要性が確認された。一方、企業へのサイバー攻撃は、海外で生じた事案であっても国内への波及が懸念されるため、国際標準化から独自の分散型プラットフォームの開発へ方針を転換することとされた。
    5. 2016年、「官民データ活用推進基本法」が成立し、マイナンバーを利用することで、窓口に行くことなく、転居に伴う転出届・転入届の提出などを一括して行う電子申告が可能となった。また、2018年、国際連合が毎年発表している世界電子政府ランキングで我が国は初めて上位10か国入りを果たした。一方、電子納税の利用率は低迷しており、同年に策定されたデジタル・ガバメント実行計画では、現在国税に限定されている電子納税を地方税まで拡大するよう提言している。

     

    【2018年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:⑤

    自動車産業をめぐる記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 日本の基幹産業の一つである自動車産業については、1990年代前半、小型自動車の対米輸出が急増したため、米国との間で初めて貿易摩擦が発生し、自動車及び同部品について輸出の自主規制を求める米国のスーパー301条の適用対象となった。その後、円高ドル安が続いたため、生産体制のグローバル化が進み、1990年代後半以降、海外生産が国内生産を上回ったほか、2014年現在、全就業人口に占める自動車関連産業の就業人口が1%未満となっている。
    2. スマートフォンの普及により、車載システムとインターネットを連携させるサービスが進んでいるほか、車両の状態や道路状況などのセンサーデータを準天頂衛星「みちびき」から取得し、一般道路を走行する完全自動運転システムが実用化されるなど、自動車の情報化が進んでいる。一方、2016年に米国で発生した自動運転車の初めての死亡事故は、車載システムのIoT機器に感染したウイルスが原因とされており、自動車のサイバーセキュリティが課題となっている。
    3. 次世代自動車とは、窒素酸化物や粒子状物質等の大気汚染物質の排出が少なく、燃費性能が優れているなどの環境にやさしい自動車とされている。日本では、近年、実収入に占める消費支出の割合である平均消費性向が若者を中心に低下しており、新車販売に占める次世代自動車の割合は2015年で10%未満となっている。このため、2017年に閣議決定された未来投資戦略2017では、この割合を2050年までに30〜40%とすることを目指している。
    4. 日本では、水素エネルギーを本格活用する水素社会の実現に向けた取り組みが行われている。燃料電池自動車は、車載の水素とリチウムを反応させて発電し、その電気でモーターを回転させて走行する自動車で、排気されるものが酸素以外にないため、地球温暖化対策に役立つとされている。一方、レアアースのリチウムを大量に用いるため、燃料電池自動車のコストが高いほか、バイオ燃料を縮合重合させて水素を発生させる水素ステーションの設置も課題となっている。
    5. 次世代自動車の一つである電気自動車は、バッテリーに蓄えた電気でモーターを回転させて走行する自動車であり、ガソリンエンジンなどを搭載した通常の自動車と比べ、構造が簡易で部品数が少なく、自動車自体の小型化も比較的容易とされている。2017年、大気汚染の深刻化や地球温暖化対策などを理由として、英国やフランスが2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する方針を発表しており、各国において電気自動車の開発・普及が進められている。

     

    【2問目】正答:④

    日本における雇用等に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払うよう努めなければならないとする制度である。2016年度に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランにおいて、中小企業の経営状況に与える影響や消費者物価の前年比上昇率を2%とする日本銀行の物価安定の目標を考慮し、最低賃金を年率2%引き上げ、これにより全国加重平均が1500円となることを目指している。
    2. 障害者雇用促進法では、民間企業に対して、従業員に占める障害者の割合を1.0%以上にすることを義務付けるなど、障害者の職業の安定を図っており、また、2018年度から、障害者の状況に応じて社会的障壁を除去するなどといった合理的配慮の提供を、行政機関のみならず民間企業や個人に対しても義務付けている。さらに、障害者を差別するような言論や、雇用時の差別などは合理的配慮に欠けるとして規制され、違反した者には罰則が科せられる。
    3. 女性の職業生活における活躍の推進のために制定された女性活躍推進法では、51人以上の労働者を雇用し、かつ、女性管理職比率が30%未満の事業主に対し、女性の活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ一般事業主行動計画の策定とその届出を義務付けている。10年間の時限立法であるが、行動計画の目標を実行しない場合の罰則規定を設けるなど、女性の社会進出を後押しすることとしている。
    4. 厚生労働省は、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況を、一般職業紹介状況として毎月公表しており、2017年には、正社員の有効求人倍率(季節調整値)が1倍を上回る月があった。一方、総務省は、日本の就業・不就業の状況を把握するため、労働力調査を毎月行っており、同調査によれば、年平均の完全失業率は、2009年には5.0%を上回っていたが、その後低下傾向で推移し、2017年には3.5%を下回っていた。
    5. 政府は、長時間労働の是正や非正規雇用労働者の処遇改善を目指し、働き方改革の実現に向けた施策を推進している。日本は、2014年には、週49時間以上の長時間労働を行う者の割合が約60%に達し、アジア・欧州の中では韓国・ドイツに次いで3番目に高かった。非正規雇用労働者の割合は、リーマン・ショック以降50%前後で推移していたが、2015年の労働者派遣法改正による正規雇用化に向けた取り組みにより、2017年には20%程度まで減少した。

     

    【3問目】正答:④

    国際事情に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 日本は、海外で地震などの大規模な災害が発生し、被災国政府などから援助要請があった場合、内閣総理大臣の命令に基づき外務大臣が直接、国際緊急援助隊の救助チームを派遣しており、同チームは消防庁や海上保安庁などにより構成される。2017年、メキシコにおける大規模地震や、米国西海岸で発生し東海岸に向けて大陸を横断した巨大ハリケーンの被害に対し、同チームを派遣し、救助活動を行った。
    2. 日本の政府開発援助(ODA)は、2015年に改定されたODA大綱に基づいて実施され、経済社会インフラ分野、国際平和協力法に定められた停戦監視などの人間の安全保障の分野について行われる。ODAには、直接援助を行う二国間援助と、国際機関を通じて援助する多国間援助があり、前者の例として、低金利で長期にわたって返済することを認める円借款がある。2017年には、インドや中国の高速鉄道整備計画などの事業について円借款貸付契約が調印された。
    3. 国連ではいくつかの開発目標が策定されている。先進国については、ミレニアム開発目標(MDGs)が達成されたことから、その後継として、貧困削減や不平等の是正など、2030年までに先進国が取り組むべき課題である持続可能な開発目標(SDGs)が策定された。日本では、2016年にSDGsの実施指針を決定し、子どもの貧困などに対処している。一方、開発途上国については、MDGsが未達成のため、達成目標年を2030年として延長されることとなった。
    4. 国連の安全保障理事会は、世界の平和と安全の問題について、加盟国を拘束する決定を下す権限を有しているが、実質事項に関する決定には5常任理事国を含む9理事国の賛成が必要である。2017年には、日本を飛び越える弾道ミサイルの発射や、水爆実験である可能性も否定できないとされる核実験を強行した朝鮮民主主義人民共和国に対し、制裁措置を課す安保理決議が全会一致で採択され、これを受けて日本も制裁措置を実施した。
    5. 自由貿易協定(FTA)は、関税の撤廃などの貿易の自由化を目的とする協定であり、他方、経済連携協定(EPA)は、それに加えて、投資、人の移動など様々な分野での協力の要素等を含む幅広い経済関係の強化を目的とする協定である。日本再興戦略に基づき、日本は2017年にシンガポール、フィリピン、インドなどと相次いでEPAを成立させ、欧州連合(EU)とも交渉に入ったが、英国のEU離脱交渉の影響を受けて、大枠合意には至らなかった。

     

    【2017年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:⑤

    近年の科学技術の動向に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 生物の遺伝子を操作する方法として、従来の方法よりも容易かつ狙いどおりに、遺伝子改変を可能とする新たな遺伝子組換え技術が開発されている。その背景には、2010年代に入って、医療機器に組み込まれたセンサーから得られた大量のヒトの遺伝子情報が解析され、生物の中で最も総塩基数が多いヒトゲノムが全解読されたことがある。2016年末現在、日本では米国や中国などに先駆けて、ヒト受精胚へのゲノム編集技術の臨床利用が進められている。
    2. ロボットは、少子高齢化の中での人手不足やサービス部門の生産性の向上という課題の解決に役立つと考えられており、日本では2015年に「ロボット新戦略」が策定されている。日本は、災害復旧活動や原子炉建屋内の調査などに人型ロボットを活用し、世界をリードしているが、産業用ロボットについては、半導体をめぐる1980年代末の日米貿易摩擦の影響で、国際競争力を失ってから2016年まで、出荷額や稼働台数が世界シェアの1割を下回っている。
    3. 自動走行システムの開発が、自動車企業やIT企業などにより進められている。日本では「官民ITS構想・ロードマップ2016」が策定され、加速・操舵・制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない状態となる完全自動走行システムが、2020年の新車の5割に搭載されることを目標としている。しかし、2016年末現在、自動走行システムの公道実証実験は、ドライバーの有無にかかわらず法律上禁止されており、道路交通法の改正が必要とされている。
    4. IoT(Internet of Things)とは、インターネット上に設けられたデータセンターにコンピュータやスマートフォン等の個人用端末がアクセスし、必要なサービスを受ける仕組みである。顧客の購買情報をデータセンターに集めることで、ビッグデータとよばれる膨大なデータが得られるほか、近年では、フィンテック(FinTech)とよばれる量子暗号を用いた通信技術が開発されたことで、個人用端末が金融機関のデータセンターに直接アクセスすることが可能となった。
    5. 人工知能(AI)とは、一般に、知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術といわれ、その研究領域には、収集されたデータの中から一貫性のある規則を見付け出そうとする機械学習やカメラなどで撮った内容をコンピュータに理解させる画像認識などがある。知識を定義する要素をコンピュータが自ら学習するディープラーニングが登場して、この分野で技術革新が起こったとされており、病気の診断など様々な分野への利活用が期待されている。

     

    【2問目】正答:④

    日本における近年の法改正に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 悪質事業者の手口の巧妙化などを受けて、2016年、特定商取引法及び消費者契約法が改正され、店舗などでの対面販売においても、クーリング・オフ制度が適用されることとなった。また、消費者が日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品の契約については、消費者に取消権を認めるのではなく、行政委員会である消費生活センターが、契約の取消しの可否を判断して消費者に代わり取消権を行使できることとなった。
    2. 2015年、最高裁判所は、女性に対し300日を超えて再婚禁止期間を設けるのは、婚姻の自由の過剰な制約であり違憲であるとする一方、夫婦同姓規定には合理性があり合憲であるとした。日本では、最高裁判所が違憲と判断した法律について、国会は直ちに改正することが憲法上義務付けられており、2016年には民法が改正され、女性の再婚禁止期間が短縮された。
    3. 高齢ドライバーが増加していることを背景として、2015年、道路交通法が改正され、75歳以上のドライバーは、運転免許証の更新の際だけでなく、信号無視や通行区分違反などの一定の違反行為をした場合にも、認知機能検査を受けることなどが規定された。また、同時に、65歳以上のドライバーは、自動車の前面と後面に高齢運転者標識を表示することが義務化され、この改正に合わせ、高齢運転者標識のデザインが改められた。
    4. 2016年、刑事訴訟法等が改正され、裁判員制度対象事件などについて身柄拘束中の被疑者を取り調べる場合に、原則として、全過程の録音・録画が義務付けられることとなった。また、一定の財政経済犯罪などを対象として、検察官が、弁護人の同意を条件に、被疑者・被告人との間で、被疑者・被告人が他人の犯罪事実を明らかにするための供述等をし、検察官が不起訴や特定の求刑等をする旨の合意をすることができることとなった。
    5. マイナンバーによる情報連携等により、更なる利便性の向上が見込まれる分野について、マイナンバーの利用範囲の拡大や制度基盤の活用を図るため、2015年、個人情報保護法及び番号利用法が改正され、2018年から、預貯金口座や旅券番号とマイナンバーを結び付けることが可能となった。一方、個人情報保護委員会の答申に基づき、特定健康診査や予防接種の記録等における連携については、見送られることとなった。

     

    【3問目】正答:①

    欧州諸国の近年の情勢等に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 英国では、移民問題等に対する国民の不満が高まっていたことから、キャメロン首相は欧州連合(EU)残留・離脱を問う国民投票を2017年末までに行うことを公約していたが、2016年に行われた国民投票では、離脱支持票が残留支持票を上回った。この結果を受け辞任したキャメロン氏に代わり、同政権で内相を務めていたメイ氏による政権が発足した。
    2. フランスは、伝統的に労働者として多くの移民を受け入れてきた。中東・北アフリカからの難民問題に関しても、難民の受入れ数に上限を設けなかったため、2015年中にはEU加盟国中最多の難民が流入した。しかし、同年1月の新聞社などへの襲撃、11月のパリ市内での同時多発テロといった事件を受け、2016年、難民の受入れを中止し、全土に緊急事態宣言を発出した。
    3. イタリアでは、古くから工業化の進んだ北部と農村の広がる南部との経済格差が問題となっている。政府は、財政再建と経済成長の両立を目指しているが、2014年には財政赤字の拡大のため欧州委員会から制裁金を課され、また、2016年には中部でマグニチュード6.2の大地震が発生したこともあり、同年の年平均経済成長率が3年連続のマイナスとなった。
    4. ドイツでは、2013年の連邦議会選挙でキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)が大勝し、再び単独政党による政権となった。2015年、メルケル首相は、欧州で最も厳しいとされる解雇規制の緩和など、企業の労働コストを削減し、競争力を回復する政策を推し進めた。その結果、同年の経済成長率はプラスに転じたが、失業率は10%超となった。
    5. ロシアは、15か国から成る独立国家共同体(CIS)を通じて、旧ソ連圏の結束・強化を図ってきたが、2014年のクリミア併合を含むウクライナ情勢をめぐり、ウクライナがCISを離脱したほか、欧米等の制裁によって経済状況も悪化した。その後、2015年には、国際的な原油価格の高騰によって経済状況が回復し、日本との間の貿易額は過去最高を記録した。

     

    【2016年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:①

    日本の危機管理や対応等に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 2015年、日本年金機構のネットワークシステムにおいて、ファイアウォールが外部からのDDoS攻撃によって破られるとともに、マルウェアと呼ばれる有害なソフトウェアが一部の端末に組み込まれ、氏名や年金支給額等の個人情報が流出する事態が発生した。これを受け、日本では、国や地方公共団体の責務を明確化することを目的とした「サイバーセキュリティ基本法」が成立し、内閣の下にIT総合戦略本部が設置された。
    2. 日本は、太平洋プレートとユーラシアプレートが互いに押し合う地域に位置し、世界の活火山の約半数を有している。このため、気象庁では、火山活動の状況に応じ、警戒が必要な範囲を7段階に区分して、噴火警戒レベルを発表している。2015年、御嶽山および口永良部島の噴火警戒レベルについて、気象庁は、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想され、避難の準備が必要であるとするレベル5に引き上げた。
    3. ウイルスとは、遺伝情報を担うDNAから構成される10マイクロメートル前後の生物である。2014年から2015年にかけて、エチオピア等のアフリカ東部で流行したエボラ出血熱は、エボラウイルスによって起こる感染症で、空気感染や飛沫感染で広がるため、世界保健機関は、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態であると宣言した。これを受け、日本では、感染症法に基づき、発生国からの入国者および帰国者を一斉に検査の対象とした。
    4. シリアでは、アラブの春と呼ばれる民主化運動によって政権が崩壊し、ロシアの支持を得たアサド氏が大統領に就任したが、イスラム過激派とシリア軍・治安当局との間で衝突が発生して内戦状態となっている。このため、日本では、2015年、シリア等の退避勧告が発出されている国・地域への渡航を禁止する目的で、旅券法の一部が改正され、一般旅券の発給制限と返納命令が新たに可能となった。
    5. 原子力発電とは、核分裂によって原子炉で発生した熱を利用してタービンを回し、発電する方法である。2011年の東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故では、炉心冷却機能が失われて炉心溶融が発生し、放射性物質が外部に放出されたため、同発電所から半径20km圏内が警戒区域として設定された。その後、区域の見直しがなされたが、2015年末においても、福島県の複数の市町村で避難指示区域が設定されている。

     

    【2問目】正答:②

    各国の政治・経済情勢に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 英国では、議院内閣制が採られており、2010年に保守党のキャメロン党首が首相に就任した。2015年には総選挙が行われ、保守党が過半数の議席を獲得し、自由民主党と連立政権を組んでいた保守党、単独で政権を担うこととなった。また、2014年にはスコットランドの独立の是非を問う住民投票が行われ、独立反対が賛成を上回った。
    2. ドイツでは、大統領制が採られているが、政治的実権は首相にある。2013年の連邦議会選挙では、社会民主党が単独過半数を維持し、メルケル首相が再選された。同首相は、欧州連合(EU)の欧州理事会議長も務めており、2015年には債務危機に陥ったギリシャへの支援に関し、欧州理事会議長として積極的な役割を果たした。
    3. オーストラリアでは、議院内閣制が採られており、2015年に自由党のアボット党首が首相に就任した。日本との関係では、東南アジア諸国連合(ASEAN)+3首脳会議の参加国として金融、安全保障などの様々な分野で実務協力が進展する一方、温室効果ガス削減の国際的な枠組みの構築など環境問題をめぐってはしばしば対立している。
    4. 米国では、大統領制が採られており、2015年現在、国民からの直接投票で選出された民主党のオバマ大統領が2期目を務めている。2014年には、連邦議会選挙が行われ、民主党が過半数を獲得したことで、上下両院で多数党が異なるいわゆるねじれは解消され、医療保険制度改革法等の重要法案の審議が再開されることとなった。
    5. ロシアでは、大統領制が採られており、2015年現在、プーチン大統領が3期目を務めている。また、同年には、同国で主要国首脳会議(G8)が行われ、世界経済の更なる成長に向けた取組に合意するとともに、新たにポーランドなど旧東欧諸国等10か国で構成されるユーラシア経済同盟を発足させた。

     

    【3問目】正答:④

    日本の人口や社会保障等に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 日本の総人口は、2010年を境に減少に転じており、2014年には、1億2000万人を下回った。特に15歳未満の子どもの数は、出生率の低下により大幅に減少しており、2015年4月現在の人口推計では、1000万人に満たない状況にある。このような状況の下、2015年に、健康寿命を延伸し労働力人口を確保することを目的とした健康増進法が制定された。
    2. 日本は、フランスやドイツと比較すると、国民所得に占める租税・社会保障負担率を示す国民負担率は低い水準にあるが、年金や医療などの社会保障関係費は年々増加しており、2015年度一般会計予算の歳出全体に占める割合も前年度に比べ増加している。社会保障の安定財源の確保および財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から、2014年には消費税率が引き上げられた。
    3. 2015年に発表された国民医療費は50兆円を超え、年々増加している。日本では、満20歳以上の全国民が健康保険などのいずれかの医療保険に加入する国民皆保険の制度が設けられており、疾病・負傷時には医療給付が受けられる。医療給付の一部は自己負担となっており、加入している医療保険の種類によって自己負担の割合が決められている。
    4. 就学援助を受けている世帯のうち一定所得以下の世帯の割合を示す子どもの相対的貧困率は、日本では近年減少傾向にあるものの、子どもの貧困対策をより総合的に推進するため、2014年に「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定された。同大綱により、2015年に新たに高等学校等就学支援金制度が整備され、公立高等学校では授業料が原則として不徴収となった。
    5. 日本の65歳以上の高齢者人口は年々増加しており、2015年9月現在の推計では、初めて2500万人台となり、総人口に占める割合は2割を超えた。高齢者の総人口に占める割合は、日本は先進国の中で英国に次いで高くなっているが、国立社会保障・人口問題研究所による将来推計では、総人口の減少とともにその割合は2020年を境に低下するとされている。

     

    【2015年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:①

    近年の世界経済の動向に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 米国は 2012年に初めて 1兆ドルを超える巨額の財政赤字と過去最高の債務残高を記録し、初の債務不履行(デフォルト)に陥った。そのため、政府機能の一部停止が懸念されたことから、2014年度予算については民主党と共和党の合意が速やかになされ、2013年 10月に成立した。
    2. 欧州債務危機に際し、財政危機国を支えるために 2012年に欧州安定メカニズムが発足するとともに、2013年に欧州連合(EU)のいわゆる新財政協定が発効した。欧州中央銀行(ECB)による金融政策などもあり、スペインやポルトガルの国債利回りは低下し、予定どおり両国に対する金融支援策も終了した。
    3. ロシアは 2010年に世界貿易機関(WTO)に加盟したことを機に貿易の自由化などを推し進め、石油や天然ガスなどの資源を中心に輸出額を大幅に増加させた。経済成長率はWTO加盟前は 2%台であったが、2011〜 2013年には年率 5%を超え、雇用の回復や個人消費の増大も顕著であった。
    4. 中国は 2012年、2013年と連続して実質経済成長率が年率 10%を超え、2012年には名目GDPで日本を抜き、世界第 2位の経済大国となった。経済成長に伴い、消費者物価上昇率が 2011年に年率 5%まで上昇したことから、金融引締め政策が採られた結果、2013年には上昇率はマイナスに転じた。
    5. 2014年のサッカーワールドカップ、2016年のオリンピック・パラリンピックの開催を控えたブラジルは、2012年、2013年と、内需の増大に加え、外需の増大も著しく、実質経済成長率は年率 8%台に上昇し、2000年以降では最高の成長率を記録した。

     

    【2問目】正答:⑤

    日本における男女共同参画社会の形成に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 女性の労働力率を、年齢階級を横軸としてグラフ化すると、いわゆる「M字カーブ」を描く。これは、女性は、結婚や出産を機に労働市場から退出することが多く、子育てが一段落すると再び労働市場に参入するためであり、2010年には閣議決定により、25歳から 44歳までの女性の就業率について数値目標が設定された。
    2. 男女共同参画社会基本法は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図るため、男女雇用機会均等法と同年に制定された法律で、2014年に施行 15年を迎えた。これを機に、男女共同参画社会基本法は女性活躍推進法と改められ、同法に基づき政府は、女性が活躍できる社会環境の整備を迅速かつ重点的に推進することとされた。
    3. 積極的改善措置(ポジティブ・アクション)とは、一般に、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置であり、その多様な手法のうちの一つとしてクォータ制がある。2014年の男女雇用機会均等法の改正により、女性の職業生活における活躍を推進するため、従業員 1,000人以上の企業の役員について、その導入が義務付けられた。
    4. 政策・方針決定過程への女性の参画拡大に関しては、指導的地位に占める女性の割合を2020年までに 30%程度とする政府目標が、女性活躍推進法に明記されている。2013年現在、衆議院議員や民間企業(従業員 100人以上)の課長相当職に占める女性の割合は 20%を超えている。
    5. 2012年度における育児休業取得率は、女性が 90%を超えている一方で、男性は 1%にも満たない。こうした状況の中、男女が共に子育て等をしながら働き続けることができる環境を整備することを目的に、2014年に育児・介護休業法が改正され、父母が共に育児休業を取得する場合の育児休業取得可能期間の延長(パパ・ママ育休プラス)が制度化された。

     

    【3問目】正答:⑤

    気象や宇宙等に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 2014年に閣議決定された「科学技術イノベーション総合戦略 2014」では、西日本を中心に甚大な人的、物的被害が想定される南海トラフ地震や、首都及びその周辺地域における首都直下地震から国民の生命・財産や産業を守るため、ビッグデータを活用した「地震予知システム」を 2018年までに実用化することとされた。
    2. 地球温暖化を背景に、集中豪雨や猛暑などの極端な気象現象が増加傾向にある中、2014年に、運用中の「ひまわり 1号」に替わる静止気象衛星「ひまわり 2号」が打ち上げられた。観測機能が向上した「ひまわり 2号」により、今後地上における気象観測は補完的位置付けとなるため、2020年までに地方気象台が約半数に削減されることとなっている。
    3. 惑星探査機「はやぶさ」は、平成 2年に打ち上げられ、約 20年の探査活動を終えて、2010年に小惑星「いとかわ」の表面物質のサンプルを採取して地球に帰還した。2014年に打ち上げられた後継機「はやぶさ 2」は、火星の探査を目的としており、搭載された新たな装置により惑星の地下物質を採取し、2018年に帰還する予定である。
    4. 2013年に閣議決定された「宇宙基本計画」の中で、同年は「宇宙開発民営化元年」と位置付けられ、民間企業による宇宙ビジネスへの参入を促進することとされた。イプシロンロケットは、ベンチャー企業が開発中の低コストで高機能のロケットで、2015年 9月に初の打ち上げを予定している。
    5. 地上から約 400km上空にある巨大な有人施設である国際宇宙ステーション(ISS)は、世界各国が参加する国際協力プロジェクトである。日本人初の船長も務めた若田光一飛行士は、ISSに約 6か月滞在し、日本が開発を担当した有人実験棟「きぼう」から超小型衛星を宇宙空間に放出するミッションなどを遂行して、2014年に帰還した。

     

    【2014年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:⑤

    薬と社会に関する記述として最も妥当なものはどれか。

    1. 近年の子宮頸がんの発症者の増加を受けて、我が国では2012年から子宮頸がんの検診と子宮頸がん予防ワクチンの接種が、全ての地方公共団体で自己負担なしで受けられる措置が採られた。ただし、予防ワクチンについては、未成年者に重大な副作用が生じる可能性があることから、その対象は成人女性に限られている。
    2. 我が国では1980年代から幼児に対して風疹の定期予防接種が実施されてきたことから、1990年代には風疹の患者数が大幅に減少した。そのため、2000年からは定期予防接種から外されたが、2012年に10歳前後の児童を中心に大流行が起き、ワクチンの不足が社会問題化したことから、再度定期予防接種とすることが検討されている。
    3. 使用について法律では禁止対象となっていないものの、使用すると人体に悪影響が生じる薬物が「合法ドラッグ」などと称して売られている。こうした薬物を取り締まるためには、指定薬物として法律で定める必要があるが、我が国では治験に日本人以外のデータを利用することは認められていないことから審査に遅延が生じる。これはドラッグ・ラグと呼ばれ、問題となっている。
    4. 近年、我が国におけるスポーツの競技会ではドーピングによる違反・失格が増加している。その中には、不注意による薬物使用例はほとんど見られず、薬物を意図的に使用して競技能力を高める悪質な事例が多いことから、スポーツ基本法の改正により、ドーピングをした者について罰則を科す規定が盛り込まれた。
    5. 後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、先発医薬品と品質・有効性・安全性が同等として製造販売が承認されたもので、一般的に開発費用が安く抑えられることから、その普及が患者負担の軽減、医療保険財政の改善に資すると考えられている。我が国では、欧米諸国と比べ普及が進んでおらず、厚生労働省により「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」が策定された。

     

    【2問目】正答:④

    我が国の社会保障に関する記述A~Eのうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
    A:我が国の総人口に占める65歳以上人口の割合は平成23年に初めて30%を超え、平成23年度一般会計予算における社会保障関係費のうち、医療費の占める割合は5割を超えた。この状況を受け、国民健康保険制度の安定的な運営を確保するため、平成24年に国民健康保険法が改正され、無料であった75歳以上の患者の医療費について、その負担割合が1割とされた。
    B:公的年金制度の最低保障機能の強化のため、平成24年に国民年金法等が改正され、基礎年金の国庫負担割合の「3分の2」を恒久化する年度が平成26年度と定められた。また、将来の無年金者の発生を抑制するため、これまで「25年」としていた老齢基礎年金の受給資格期間が、平成27年10月から撤廃されることとなった。
    C:平成24年に厚生年金保険法等が改正され、公的年金全体に対する国民の信頼を高めるため、平成27年10月からは厚生年金保険制度に公務員及び私学教職員も加入し、いわゆる2階部分を厚生年金に統一するとともに、従来の共済年金にあった公的年金としてのいわゆる3階部分(職域部分)は廃止されることとなった。
    D:高齢者が地域で自立した生活を営めるよう、平成23年に介護保険法等が改正され、平成24年4月から、単身・重度の要介護者等に対応できるよう24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスが創設されるとともに、介護福祉士や一定の教育を受けた介護職員等によるたんの吸引等の実施が可能となった。
    E:子どもの健やかな育ちを社会全体で応援することを目的として、平成22年4月から設けられた子ども手当制度は、一定の所得制限の下、満12歳までの子どもを養育している者を支給対象としていた。平成24年4月からこの子ども手当制度に替えて設けられた児童手当制度では、所得にかかわらず、満15歳までの子どもを養育している者が支給対象とされた。

    1. A、B
    2. A、E
    3. B、D
    4. C、D
    5. C、E

     

    【3問目】正答:④

    我が国の経済政策に関する記述A~Dのうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
    A:平成25年度一般会計当初予算は、日本経済再生に向け、平成24年度補正予算と一体的なものとして、「15ヶ月予算」として編成された。インフラ老朽化対策が新たな重点項目として追加されたが、歳出超過が続く現状を踏まえ、公共事業予算は削減され、4年連続で減額となった。
    B:一般会計当初予算について見ると、平成25年度では、公債金は税収よりも少なくなり、過去3年間続いた公債金が税収を上回る状態が解消された。その一方で、国債発行残高は平成25年度当初見込みで850兆円を超えており、平成21年度以降増加し続けている。
    C:政府は、平成34年度までの10年間を「再生の10年」と位置付け、その間の平均で、名目GDP成長率3%程度、実質GDP成長率2%程度の成長を目標に掲げようとしたが、個人消費の底上げが進まないことから、平成25年6月の閣議決定は見送られた。
    D:日本銀行は、平成25年に、金融市場調節の操作目標を従来の無担保コールレート・オーバーナイト物からマネタリーベースへと変更するという、新しい金融調節方式を導入した。

    1. A、B
    2. A、D
    3. B、C
    4. B、D
    5. C、D

     

    【2013年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:①

    情報通信に関する次の記述A〜Dのうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
    A:テレビの地上アナログ放送は、平成23 年 7月に、東日本大震災による影響が大きかった東北の3県を除く44 都道府県で終了し、平成24 年3月には全国における地上デジタル放送への移行が完了した。地上デジタル放送への移行のため、経済的弱者に対するチューナーの購入支援等が行われ、地上デジタル放送の受信が困難な地区では暫定的に衛星放送による対策が実施されている。
    B:スマートグリッドとは、発電設備から末端の機器までを通信網で接続、電力流と情報流を統合的に管理することにより自動的な電力需給調整を可能とし、電力の需給バランスを最適化する仕組みのことである。2010 年に閣議決定された「新成長戦略」では、グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略の一つとして、スマートグリッドの導入が掲げられた。
    C:クラウドコンピューティングとは、クラウドとも呼ばれ、米国が開発した軍事技術の一つであり、人工衛星を利用して、利用者が自分のコンピュータでデータを加工・保存することなく、「どこからでも、必要なときに、必要な機能だけ」データを利用することができるシステムのことである。人工衛星から位置情報を取得できることから、航空機・船舶等の航法支援にも利用されている。
    D:SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)とは、インターネット上で友人を紹介しあって、個人間の交流を支援するサービスのことである。SNSにはウェブサイトを作成・公開するサービスを提供しているものがあり、リアルタイムの情報発信やコミュニケーションの活性化などが可能となることから、我が国の電子政府構想の一環として、平成27年度までに各自治体のウェブサイトをSNSに移行することとしている。

    1. A、B
    2. A、C
    3. B、C
    4. B、D
    5. C、D

     

    【2問目】正答:②

    我が国の犯罪の現状に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. 架空・他人名義の携帯電話や預貯金口座等を利用し、不特定多数の者から現金をだまし取る、いわゆる振り込め詐欺については、最も被害の多い高齢者の世帯数が増加していることもあり、犯罪の認知件数と被害総額は、2007 年以降、いずれも一貫して増加している。
    2. 警察庁では、2007年度から、国民からの情報提供を促進し、重要犯罪等の検挙の徹底を図ることを目的として、捜査特別報奨金制度(公的懸賞金制度)を導入しており、報奨金の支払の対象となる事件については、警察庁ウェブサイト等で広報している。
    3. 児童ポルノは、児童の性的搾取・性的虐待の記録であり、児童の人権を著しく侵害するものであるが、現在、我が国には児童ポルノの製造、頒布等を処罰する法律は制定されておらず、各都道府県が制定した条例に基づいて、児童ポルノの規制・取締りを行っているのが現状である。
    4. 高度情報通信ネットワークを利用した犯罪等のいわゆるサイバー犯罪は、インターネットの急速な普及に伴って、その検挙件数が増加の一途をたどっている。中でも、いわゆる出会い系サイトの利用に起因する事件の検挙件数が2011 年では全体の約8割を占めている。
    5. 来日外国人犯罪の検挙件数は、2007 年から2011年にかけて増加の傾向にある。2011 年の検挙件数を、来日外国人犯罪の情勢が比較的平穏に推移していた昭和60 年代(1985年〜1988 年)と比べると約2倍の水準にある。来日外国人犯罪の検挙状況を国籍・地域別にみると、2011年では中南米が最も多くなっている。

     

    【3問目】正答:④

    2012 年に開催された国際会議に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)では、温室効果ガスの排出量削減に関する新たな枠組みとなるコペンハーゲン合意が正式決定され、これに伴い京都議定書は2012 年末で廃止されることになった。また、我が国は政府代表演説において、温室効果ガス排出量を2020 年までに1990 年比で25%削減するという新たな目標を表明した。
    2. 米国のキャンプデービッドで開催されたG8サミットでは、世界経済、気候変動、地域情勢など様々な分野について意見交換が行われ、キャンプデービッド宣言が出された。同宣言ではイランの核開発、北朝鮮のミサイル発射に対する憂慮については触れられたが、シリアの内戦については、ロシア、中国の反対により触れられなかった。
    3. メキシコのロスカボスで開催されたG20 サミットでは、欧州問題への対応などの世界経済の問題を中心に議論がなされ、ロスカボス宣言が出された。この合意に基づき、民主化に向けた取組が進められているミャンマーや、ジャスミン革命を経て民政移行が進んでいるエジプトへの国際的な支援が行われることとなった。
    4. 沖縄県で開催された第6回太平洋茜島サミットでは、初めて米国が参加した。サミットでは自然災害への対応、環境・気候変動、海洋問題など協力の五本柱を策定し、これに沿って活発な議論が行われ、最後に沖縄キズナ宣言が採択された。また、我が国は3年間で最大5億ドルの援助を行うべく最大限努力することを表明した。
    5. ロシアのウラジオストクで開催されたAPEC首脳会議では、貿易・投資の自由化及び地域経済統合などの四つの優先課題に沿って議論が行われた。我が国は、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けて議論を牽引していく考えを表明し、この一環として2011 年に事前協議入りを表明したTPPへの交渉参加をカナダ、メキシコとともに表明した。

     

    【2012年】時事テーマ・解答番号

    【1問目】正答:⑤

    近年の我が国の宇宙開発に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. 宇宙産業の国際競争力を強化することを目的として、これまでの我が国の宇宙開発の基本方針であった宇宙基本計画をもとに、2009年に宇宙基本法が成立した。同法では、宇宙開発利用は国民生活の向上や災害・貧困の除去などの目的に限ることとし、安全保障を目的としないことが明記された。
    2. スペースシャトルの運用終了に伴い、国際宇宙ステーションと地球との往復手段の確保が問題となっており、我が国では 2013年度以降打ち上げが予定されている有人宇宙ステーション補給機「こうのとり」が完成するまでの間、米国の商業軌道輸送サービスであるソユーズ宇宙船を利用することとした。
    3. 我が国初の惑星探査機として2010 年に打ち上げられた「あかつき」は、同年12月に金星への着陸及び地表の物質の採取に成功した。引き続き、火星でも同様に地表の探査を行い、2016 年には地球に帰還して、回収した物質が分析されることとなっている。
    4. 我が国は国際宇宙ステーションの建設において、居住棟となる「きぼう」の設置を担当し、これまで山崎直子飛行士や、野口聡一飛行士が作業を行った。2009 年に「きぼう」が完成したことにより、宇宙空間に3か月を超す長期滞在が初めて可能となり、2010年には若田光一飛行士が約半年間の滞在を果たした。
    5. 我が国で人工衛星の打ち上げなどに用いられる主力大型ロケットはH-IIAロケットである。2007年に打ち上げられた13号機からはその打ち上げ事業がJAXA から民間企業に移管されており、2010年9月には、GPS を補完するための準天頂衛星「みちびき」がH-IIAロケットにより打ち上げられた。

     

    【2問目】正答:③

    我が国における高齢社会の状況及びこれに対する取組に関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. 我が国は平成21年現在、総人口に占める65 歳以上の高齢者人口の割合が30%を超える高齢社会である。これを都道府県別の高齢化率でみると、昭和 50 年は首都圏以外が高い傾向にあったが、平成 21 年では東京都が最も高い。これは、東京都の人口当たりの病院数が最も多いことがその理由とされている。
    2. 高齢者世帯の所得の70%を占める公的年金を持続可能で安定的なものとするため、平成21年度から基礎年金の国庫負担割合が、これまでの2分の1から3分の2に引き上げられた。また同年に、公平・透明で分かりやすい年金制度とする観点から、年金一元化法案が成立し、平成25年度から厚生年金と共済年金が一元化されることとなった。
    3. 急速に進展する高齢化により、介護へのニーズが増大することが予想されているが、介護従事者の離職率は他の産業と比べると高く、人材の確保が困難となっているという指摘があることから、介護従事者の処遇改善に結び付けるため、平成 21 年度には,各介護サービス事業者に支払われる介護報酬についてプラス3.0%の改定が行われた。
    4. 高齢者の医療費を安定的に支え、国民皆保険制度を将来にわたり維持するために、平成20年に長寿(後期高齢者)医療制度が創設された。この制度では、医療費の窓口負担が2割から1割に軽減されたが、これまで保険料が徴収されなかった被用者保険の被扶養者が保険料の徴収対象とされたこと等が問題とされ、平成22年度末に廃止された。
    5. 高齢者の雇用機会の確保のため、労働基準法において、平成25年度までに従業員の定年年齢を65歳まで延長することが企業に義務づけられた。また、この経過措置として、平成24年度までは、定年退職者に対して、65歳までの何らかの雇用継続措置をとることが義務づけられている。

     

    【3問目】正答:④

    中東・アフリカ諸国の近年の動きに関する記述として最も妥当なのはどれか。

    1. エジプトでは、2011年1月に、長期政権を維持してきたムバラク大統領の退陣を求めるデモが全土で発生した。同大統領は軍による武力弾圧を行ったがデモは拡大し、軍部のクーデターにより同大統領は失脚し、国外に亡命した。一時的に軍部が全権を掌握していたが、同年のうちにエジプト全土で総選挙が実施され、軍部から政党政府へ政権が移管された。
    2. チュニジアでは、フランスからの独立以降、国王による統治が行われてきたが、2011 年初めのエジプトの混乱を受けて首都チュニスから反政府デモが広がった。これにより国王は国外に亡命し、王政は崩壊した。王政崩壊後はベン・アリ暫定首相を中心に新体制づくりが進められている。
    3. リビアでは、 2011年2月に、カダフィ革命指導者の退陣を求めるデモが首都トリポリで発生し、全土に波及した。同指導者による反政府派への激しい武力行使に対し、反政府派は国際社会の介入を求めたが、国連安全保障理事会のリビアへの介入決議は米国等の反対により否決された。その後、武力により反政府側は制圧された。
    4. スーダンでは、南部と北部の間で内戦が続いていたが、2005年に成立した南北包括和平合意(CPA)に基づき、2010年に総選挙が実施されるなど和平プロセスが進められた。その後、2011年1月の南部スーダンの独立を問う住民投票の結果を受け、7月に南部スーダンが南スーダン共和国として独立し、国連に加盟した。
    5. シリアでは、学生が首都サヌアでアサド大統領に対し、抗議デモを起こし、これが全土に広まった。同大統領は次期大統領選挙への不出馬を表明したがデモは収まらず、2011年6月の反体制派による大統領府への砲撃により同大統領は負傷し、療養先のサウジアラビアで 2011 年内での退陣を表明した。

     

     

    【国家総合職の時事】対策方法・出題予想

    【対策方法・出題予想】

    過去のテーマを見てもらったらわかる通り、対策難易度は極めて高いと言えます。1つの時事対策本だけで対策しようと思っても点数に結びつかないことも多いと思います。

    日頃から時事や社会事情に関心を持って、時事対策本やニュース、新聞等を通して、幅広く知識を固めておく必要があります。5つの肢が違う記述であることも多いので、知っている知識でできる限り肢を切って正答率を高められるように対策を進めてほしいなと思います。

    出題予想に関しては、テーマを絞り切れないというのが正直なところです。

    3問中1問死守、2問正解で大満足と、これくらいの感覚で挑んでいきましょう!

     

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