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【裁判所事務官(大卒)】2020年度の合格体験記・アドバイスシリーズ!
- 受験先:裁判所事務官(一般職)
- 併願先:国家総合職(2次辞退)、地方上級(2次不合格)、市役所(2次辞退)、
県警(2次辞退)
【裁判所事務官】全体の勉強スケジュール
- 大学3年次の6月から勉強スタート
- 大学3年次6月~12月は主要5科目を中心に基礎固め(11月、12月に模試があったので基礎固めを行いつつ模試を一つの目標にして大まかなスケジュールを立てていました。)
- 1月~4月は問題集の周回と苦手つぶしに力を入れて行い、模試も継続的に受けつつその復習も欠かさず行っていました。また、面接練習もこのころから月1,2回ほどですが始めていました。(裁判所の記述対策も1月頃から始めました。)
- 5月~8月は直前にやっても伸びるといわれる科目(人文・自然・社会科学など)と主要5科目の簡単な復習、面接練習を重点的に行っていました。
⦅私の失敗・反省点⦆勉強スケジュールについて
3年次の6月~12月は基礎を固めるうえで非常に重要な期間なのですが、私は模試があるときだけ力を入れてそのほかの期間は問題集の周回をせず公務員講座を受けるだけで満足していました。
案の定11月に行われた数的処理の小テストでは平均点以下の点数となってしまったのでこの段階から少しでもいいので問題集の周回に着手するべきだと思いました。
【裁判所事務官】筆記試験の対策方法
- 基本的には問題集の周回を中心に対策をしていました。初めのうちは1か月で問題集が半分ぐらいしか進まないこともありましたが、周回を進めていくうちに問題の回答スピードが上がり、4月ごろには2日で1周(250問程度)のペースで周回していました。
- また、数的や法律系は問題に見慣れてしまうので、3月ぐらいには「解きなれた問題」+「新しい問題(過去問解きまくり!などの問題集で周回)」をしていました。
- そして、上記の問題集や模試などの復習は入念に行いました(間違った問題の要点をノートまとめたり、何か月か間をおいて再び問題を解いたりしていました)。
⇒その中で、自分の苦手を発見してはつぶす作業を何度も繰り返して、確実に解ける問題を増やしていきました。
⦅私の失敗・反省点⦆筆記試験の対策について
上記には4月ごろに問題集2日で1周ペースと書いています。来年度はどうなるかはわかりませんが、本来であれば4月は国家総合職試験ですのでペースとしては遅いかなと感じます。(そもそも私が本格的に焦りを覚えたのは、2月末に先輩から勉強のペースや裁判所事務官の難しさを指摘された頃なので、通常ならもう少し早めに問題集の周回ペースを上げるべきだったなと思います)
【裁判所事務官】記述や論文の対策方法
自分は一般職区分の試験でしたので、記述は憲法のみ対策をしていました。
- 12月~1月までは参考答案を読みこむ
(内容を丸暗記ではなく、答案構成と論点の暗記を中心に行っていました。) - 参考答案を自身で音読したり、それをレコーディングして通学しながら聞き流したりすることで、模範解答の流れをある程度口頭で言えるようにして回答の再現性を高めました。
学説などは多肢選択の問題集にもまとめられていることが多かったのでそちらも参考にしていました。
⦅私の失敗・反省点⦆記述対策について
実は記述憲法対策は11月から始めていたのですが、その方法は模範解答の内容丸暗記(或いは、模範解答を模写したのち、要点を空欄にして穴埋め方式で暗記を試みるというもの)で非効率極まりないものでした。私もやってみるまでは内容を覚えた方が確実だと考えていたいたのですが、いざやってみると非効率極まりないことに気づきましたので、来年対策される方については、模範解答の丸暗記はお勧めできません(NG)。
【裁判所事務官】面接の対策方法
- 裁判所の面接の傾向として、質問事項の深堀や傍聴体験などのほかの行政庁とは少し違った対策をする必要があると事前に聞いていましたので、自己分析や過去に面接で聞かれたことの分析は入念にやった方がいいと思います(自己分析+想定問答集をノートにまとめていたのですが、結果的に3冊ぐらいになりました。もちろん、面接会場に持ち込むのは1冊に圧縮した版ですが)。
- 外部講師の方々との面接練習も月1,2回はやっていました。
- また、実際に裁判所に傍聴しに行きました。(刑事裁判がおすすめですが、余裕があれば民事裁判や裁判員裁判も傍聴するとより理解が深まると思います。)
⇒裁判所は他の行政官庁と違い公式Twitterなどで情報発信をされてないので(Facebookはありますが、それでも情報は限定的です)、自分で傍聴なり業務説明会に足を運び、如何にして情報を集められるかが鍵となると思います。
⇒特に学生にとって裁判所は接点が少ないこともありますので、業務についてどれほど理解しているかは重要なアピールポイントになると思います。
⦅私の失敗・反省点⦆面接試験の対策について
3年次の秋ごろから就活をするにあたり自己分析は大事だといわれていたにもかかわらず、4年次の3月ごろまで自己分析を怠っていました。
自分の経歴やなぜそれをしたのかについて自分自身がわかっていないはずがないと高をくくっていたのですが、いざ裁判所や県庁の面接の過去問をみて自分自身で回答をしようとしてもうまく答えることができませんでした(或いは、言葉にできてもそれらがまとまっていなかったり、うまく伝えきれていなかったりすることも多々ありました。)。
失敗の原因は自己分析のやり方を把握しきれていなかった、或いは少し知っただけでこれでいいだろうと妥協していたことでした。
自己分析について
- 自己分析のやり方について様々な教材がありますが、しっくりこない方、面倒くさいと思われた方は、過去の面接試験で聞かれた質問の通り自問自答してみて、その答えが説得的であるかを他の人に聞いてもらうなどして分析を進めるといいと思います。
- うまく答えられない部分や説得的でなかった部分については自己分析が足りなかったということでさらに自分自身で分析を深めていき、それらをノートにまとめるといいと思います。
【裁判所事務官】筆記試験日の様子・感想
今年度は裁判所の試験と国家一般職の試験が被ってしまっていたので、私がいた試験会場では200人規模の教室に15名ほどしかいませんでした。試験会場には試験開始30分前につきましたが、既に何名かは着席している状態でした。
午前中は教養試験(180分)だったので直前まで数的のまとめや社会科学などの復習をしていました。午後は専門、専門記述、小論文でしたが、専門記述が不安だったので昼休みや専門試験を早めに終わらせて復習しました。小論文は、裁判所の過去問の分析をしても出題されるテーマがわからなかったので、休み時間中は小論文の書き方や他の公務員試験でも用いていた小論文バイブルを参照していました。
⦅感想⦆1次試験日について
裁判所の試験は他の公務員試験より終わる時間も遅く長期戦になります。特に、教養・専門試験を終えてから専門記述と小論文(しかもボールペンでの記述のため、書き間違いをしてはいけないとプレッシャーになる。)なので、集中力を切らさず長い時間ペンを動かし続ける体力も必要になると感じました。
⇒日ごろから体調管理をきちんとしておくことや、試験慣れをしておくことも重要になると感じました。
また、試験の具体的内容に関して、感想をそれぞれ述べておきます。
- 教養試験の文章理解や数的処理は基本的な問題も多く対策をしていれば十分対応可能といった印象です。
- 専門試験は、刑法の方が点は取りやすいのかなといった印象です。この点は、地方上級の延長で経済を選択した方がコスパはいいという見解もあるとは思いますが、従来刑法の試験で出題されていた学説の問題等はほとんど見受けられず、判例からの出題も比較的やさしいレベルの出題が多いと感じました。
- 専門記述は、例年通り対策をしていればある程度は書ける問題が出題されましたので特にいうことはありませんが、記述にボールペンを用いるので普段から練習をしておいた方がいいなと実感しました。
- 小論文は、例年通りあまり予想がつかないところからの出題でした。小論文の型を意識しつつ、的外れなことさえ書かなければ差はつかないと感じました。
専門記述と小論文はともに60分なので答案構成にあまり時間をかけていられない点が難しいと感じました。
⇒特に専門記述は論点の取りこぼしがないように答案構成をしたうえで書き始めないといけない(しかもボールペンでの記述なので構成を間違ったら厳しい状況になります)のでその点の訓練も必要かなと思いました。
【裁判所事務官】面接試験日の様子・感想
試験会場には余裕をもって30分前には到着していました。試験会場につき、受付のある総務課人事係までいくと、最終合格をした場合に合格通知書を送付する用の封筒の記入や試験の説明などをされました。入り口の守衛さんや窓口の人にあいさつをして会場に向かうと緊張もほぐれてよい感じになりました。
【裁判所事務官】面接官の雰囲気や面接時間等(形式)
- 面接官:3人
- 年齢層:40代が2人、50代が1人
- 面接に要した時間:40分
- 面接の雰囲気
→非常に穏やか。笑いもあった。面接というよりも会話に近かったので、途中から上司の方とお話ししている感覚になりました。 - 面接の形式
→面接官は3人おり、中央の男性(50代)・私から見て左側の男性(40代)・右側の女性(40代)で面接を行いました。マスクをしたままの面接でした。
事前の説明では面接官からマスクを外すよう指示が出た場合にマスクを外してくださいと言われましたが、結局最後までマスクを外すことはありませんでした、、、。面接官の前にはビニールカーテンのようなものがあり、結構話が聞き取りにくかったので姿勢が前のめりになってしまったり、聞き取れず再度聞き直したりとなかなか順調にいかないこともありました。
【裁判所事務官】面接で聞かれたこと
A(50代、男、真ん中)
- どうやってここまできた?
- どれくらい前にきた?
→30分くらい前→普段から慎重な性格なの? - 緊張してる?
- 弁護士事務所にインターン→これは弁護士を最初は希望していたということ?(弁護士インターンに何故行ったのか)
- 弁護士インターンは一般募集か何かで参加したの?
- 弁護士インターンでどんなことをやった?
- 裁判所事務官や裁判所書記官はどのような点で重要な役割を担っていると思う?
- やってみたい仕事→それは何故?
- 説明会にはきた?
- 印象に残っていることは?
B(40代、男、左)
- 短所の優柔不断の具体例
2個→エピソードの時系列まで確認されました。 - どのように克服したか、その後はどのように対処しているか
- 自分と他者とが対立した時にどのように解決する?気を付けていることは?
- 部活での対立、ゼミでの対立について
C(40代、女、右)
- 交通違反歴の有無
- 勤務地希望
- 体調に不安は?
- (自己PRの調整力に関連付けて)意見調整をする上で特に気を付けていることは?
- 意見調整をする上で特に重要だと考えていることは何か?
- 感情的な対立に引きずられて感情的になったりしない?
A(50代、男、真ん中)
- 友人からは自身の性格などについてどのように言われるか
- 友人から言われることについて心当たりある?
- 自分から積極的に動く方?
- 逆質問3つ
⦅感想⦆2次試験日(面接)について
面接が終わった直後は、最初のよろしくお願いしますのあいさつとお辞儀を同時にしてしまうという作法上のミスを犯してしまったことや早口になってしまったことなど失敗が次々思い出され、落ち込んでしまいました。ですが、相手が質問をしているときや自身が回答するときは目をそらさず、適宜うなずくことや自然な笑顔を忘れない(マスクを着用したままですが笑顔などは雰囲気で伝わるものです)ことで面接官とスムーズにコミュニケーションを取れていると実感することができました。
面接の内容に関して、結果的には長所や個人で力を入れたこと、集団で力を入れたことについての質問はされませんでした。他方で、短所や自己PRの調整力など個人の特性や裁判所の適正(すなわち、チームで事件の処理を行う上での協調性や考える力、自分自身役割意識をもって行動しているか、そしてそれらが個人の具体的なエピソードに裏付けられているか、矛盾がないか)を丁寧に精査している感じでした。
【裁判所事務官】最終結果(順位や筆記の得点等)
筆記の得点※成績開示請求の返信が未だないため、以下は自己採点と推測です。
- 教養:33点
- 専門:27点
- 専門記述:ほぼ完ぺき1500字程度
- 小論文:普通1400字程度
- 面接:普通
- ⦅席次⦆
東京高裁管轄内で席次1桁
【裁判所事務官】意向面談の電話の様子
私は席次が比較的上位であったため、東京高裁からの連絡は合格発表の13分後(午前10時13分)でした。
- 勤務希望票において希望順位1位だった裁判所に推薦するということ
- この電話をもって内々定であること
- 併願状況の確認
- 採用希望書の記入のお願い…等
例年は合格者説明会等があるらしいのですが、今年度は事前に個人相談会を行っていたため開催しなかったものと思われます(私はこの事前の個人相談会に電話での参加をして、今後の採用の進み方などを教えてもらいました。)。
これから裁判所事務官の合格を目指す方へアドバイス
2020年度はイレギュラーな年
今年度は国家一般職と試験日が被ったこともあり東京高裁管轄では倍率が2倍(約1000人の受験者に対し最終合格者は514人)でした。また、採用予定者については東京高裁管轄内で約200人ですので、最終合格をしても席次が下位の方は、最終合格者名簿に記載されても採用内定をもらえない可能性(いわゆる採用漏れ)があります。
以上を踏まえても2020年度は非常に異例の年だと思いますので、上記に記した試験の体験談や面接の体験談をそのまま来年度も使えるかはわかりません。ですが、コロナ禍で情報が集まりにくい中、如何にして積極的に情報を収集し、それを自身の面接にどう活かすかをやりぬいた人・考え抜いた人が来年度の試験で頭一つとびぬけると思います。
裁判所事務官に関する職業分析
裁判所事務官の仕事は一般の方から見てわかりにくいうえに情報も出回っておらず、裁判所と自身の接点を見つけることにも苦労すると思います。しかし、あきらめず裁判所事務官に関する職業分析を行っていくうちに、将来的に裁判所書記官として裁判官と同じ法廷に立って自分の名前でコートマネジメントをすることや多くの事件当事者の人生とかかわることで人の人生を司法の面から支えるという魅力に気付けるのではないかと思います。
最後に一言アドバイス
これから裁判所事務官を目指す方については、上位の席次を目指すのであれば筆記、面接などの対策は怠ってはいけませんが、特に面接に関しては、配点が4割ということもありますので、入念に自己分析や職業研究、面接練習を行っていただければと思います。
不安なこともあるかと思いますが、一人で抱え込まずに周囲の仲間や先輩、講師の方や独学を応援してくれるせんせいなど様々な方と協力しながら勉強を進めるとより勉強が充実したものになると思います。
以上長文となってしまい申し訳ございませんが、合格者体験記となります。
かなり細かく書いてもらったので、絶対に参考になると思います!