目次
【①裁判所事務官(一般職・大卒程度)】2021年(令和3年度)の合格・不合格体験記
裁判所事務官(大卒程度)
私は東京高裁管轄で受験しました。
面接試験日の流れ
- ⑴ 3人ずつ時間に区切って1部屋に集められる
私語禁止、担当者から待ち時間中に「合格していたときに通知を送る封筒」にあて名書きをしておくよう言われる - ⑵ 時間になると担当者に呼ばれ、面接室前の椅子で待つように言われる
受ける裁判所によって異なると思うが私の受けた裁判所ではブザーが鳴ったら面接室に入り、出入り口すぐ横の椅子に鞄を置くよう言われる - ⑶ 面接時間は30―40分程度
- ⑷ 終了後はそのまま帰宅
面接の雰囲気(面接官の数等)
面接官3人。裁判官が真ん中におり、メインで質問してくる。穏やかな雰囲気
面接で聞かれたこと
- 外は暑かったが待っている間にクールダウンできたか
- 裁判所への志望動機
- 裁判所事務官の仕事を知ったきっかけ
- 長所・短所の深堀
→それにまつわるエピソード、活かし方、克服方法、折り合いの付け方など - 前職で頑張ったことの深堀
→なぜそれをしようと思ったか、このことから何を得たか、なぜそのような結果を得られたかと思うか - クレーム対応について
→前職ではどうしていたか、厄介な当事者が来た時にどのように対応するか、それでもだめならどうするか - 健康状態や採用希望地の確認
- 逆質問
面接の対策方法・アドバイス
面接の対策方法
私は10回程度模擬面接を行い、想定問答は200問程度作りました。
そのため想定外は1・2問程度だったかと思います。
国般筆記2日前に面接だったためかなりスケジュールを組みづらかったのですが…
面接のアドバイス
- ①筆記試験が本格化する前に面接カードを一度仕上げておく(私は3月中に仕上げました)(裁事は1次合否から面接カード到着までに1週間程度しかないため先に仕上げて置かないとジリ貧になります)
- ②模擬面接自体は4月末から、合否発表前から他の面接対策にもなると割り切って模
擬面接を入れられるだけ入れていました - ③1日何時間、と決めて面接対策(模擬面接、想定問答、志望先調査)を行うことで筆記とのメリハリをつける
以上を心がけて面接対策を行いました。
私は既卒職歴あり短期離職組(法学部卒ではなく公務員試験自体も1回目)のため、志望
動機と前職関係のエピソードはかなりがっちり固めました。
記述や論文の対策方法・アドバイス
専門記述
予備校の予想論点とその答えのみ覚えました。
全部で20論点くらい。3月頃から始め、4月入ってからは毎日1時間とるようにしていました。
たまには手書きも必要ですが時間を取られすぎるので、基本的にパソコンやスマホで打って毎日2・3論点書くようにし、また、シャワーを浴びているときなどにも暗唱するようにしていました。
教養論文
裁判所の教養論文はかなり特殊なため、ほかの試験種の論文対策をしていれば十分です。
裁判所専願の場合は何本か書いて添削してもらったり、積極的に模試を受けて書く感覚を身に着けておくといいと思います。
また、専門記述も教養論文もボールペンで書き直し不可、という特殊ルールなのでその練習も1・2回しておくと焦らなくていいと思います。お気に入りのボールペンを決めておくのをことお勧めします。
最終結果(順位や筆記の得点等)
351人合格のうち200番台
筆記は教養が28点、専門が24点
内々定までの流れ(採用面談の内容等)
上記のように決して高い順位ではありませんでしたが、既卒で早く働けるということもあり最終合否から土日挟んですぐに電話を頂き、9月頭に採用面接になりました。
一番番不安だったこと+結果
- 面接で異常に緊張してしまい全くうまく受け答えができず、また、面接官に誤って伝わってしまったところを訂正できずにおわりました。
(クレーム対応について相手の話を聞いたうえでできることできないことをきちんと伝える、という主旨で話したつもりが、相手の話をそのまま受け止める、という風に取られてしまった)
このことは中立公平な裁判所においては致命的かと思ったので確実に不合格と思いましたが席次は上位の方ではなくとも、最終合格することはできました。 - また、逆質問でも「勉強しておいた方がいいこと」を聞いたら「それよく聞かれるんですよね」といわれたためもうだめかと思いましたが結果的に通ったため、自分が思うほど悲観的にならなくてもいいかと思います。
- また、既卒は不利とよく言われますが席次が低くても私のように提示を早くいただける可能性があるので、既卒の場合は採用漏れは気にせず、とにかく最終合格に至れば採用してもらえる可能性が高いと思います。
来年以降受ける受験生へアドバイス
- 裁判所は様々な点で他の試験種に比べて特殊な上に試験自体も早い時期にあるため、それ相応の対策が必要になります。
ですが受けることで、ほかの試験種に対しても余裕を持った面接対策にもなりますし、法律科目を得意にすることも出来るので、他の試験種が本命の方も受けてみることをお勧めします。 - 筆記についてはとにかく法律科目、特に憲法は応用問題にも触れること、刑法や経済に関しては裁判所第一希望であれば両方できるようにして置くこと、ほかの試験種第一志望であれば経済をかためておくことが必要です。
- 刑法に関しては他の法律科目より簡単にもかかわらず専門試験30点中10点とかなりウェイトが高いので力を入れて置くことをお勧めします(私は2月末から始めましたが得意にすることはできなかったのでもう少し早めに着手できると余裕を持てると思います)
追加でアドバイス
試験科目ごとに細かくアドバイスの方させていただきました。
重なる部分もあると思いますが、ご了承ください。
専門科目(憲法、民法)
まずは講義を全て聞いてから自分なりに教科書のことをまとめていました。
ただ、まとめるのは相当時間がかかるのでこれは本当にやるかやらないかは人によるかなと思います。
今思えば正直やらなくてもよかったかな、という感じです。
9月から講義を聞き始め、12月15日に初めての模試があったため、そこまでに過去問集を1周終えました。
(この時点で確か7割程度の得点率だったかと思います)
その後はとにかく過去問集を何度も何度も回しました。
2月くらいまでは特にどの分野も得意苦手考えずに濃淡付けずに回し、3月からはよく間違える問題に付箋をつけて再度回していく、という方法で、たまに付箋が付いていない問題も忘れないように回すようにしていました。
最終的には7-8周程度回したかと思います。
専門科目 経済
私は他の試験種も併願だったため、経済もそれなりにガッツリ勉強していました。
しかし裁判所の経済はかなり癖が強く難易度も高めであることが多いため、本番では刑法決め打ちで経済は選びませんでした。
経済については他も併願されるのであれば勉強しておいて損はないです。国家一般職の試験問題が解ける程度であれば問題ないかと思います。
こちらは法学と異なり講義を聞くごとに該当箇所の問題を何度も回していました。
毎週2講義、通学で講義を聞いていたため、次の講義までにその講義の範囲は確実に解けるようにしていました。
講義を聞き終わったのは12月20日です。
講義が終わったあとは毎日1単元ごとに解いていき、3月あたりからは苦手な単元や応用問題などを中心に解くようにしていました。
専門科目 刑法
実は裁事を目指し始めたのがかなり遅かったため、刑法を始めたのは2月末からでした。
それでも刑法は他の法律科目に比べればかなり軽い部類に入るので、(私は苦手でしたが)間に合うと思います。
こちらも他の法律科目と同様、講義を一通り聞いてから解くようにしていました。
ただ、刑法については『総論』と『各論』があるため、総論の講義が終わったら解く、それが終わったら各論に移る、という方が理解しやすいかもしれません。
こちらは参考書はスーパー過去問を購入し回していました。こちらは始めた時期も遅く、他の科目も忙しかったため、4周程度で終わったかと思います。
刑法は公務員試験だと珍しい科目ですが、裁判所では比重が大きく(専門30問のうち10問を占める)、簡単な部類に入る科目なので、裁判所第1志望であればかなり力を入れてかかっていいかと思います。
教養科目 文章理解
裁判所の文章理解は最近易化してると言いますがそれでも他の試験種より若干難易度は高め(長い)ですので、毎日1題でも解くように決めておくことをオススメします。
教養科目 数的処理
裁判所の場合は特に判断推理が重いです。
考えさせる問題が多く、図形も比較的難解なものが多いため数的推理と資料解釈は確実に取れるようにしておけるといいと思います。
ただ、ほかの試験種よりもかなり試験時間が長いので数的処理に割ける時間が多いためそういう意味では解きやすいともいえます。
よく数的処理の演習はわからなければすぐ答えを見て覚えるのがいいと言いますが、裁判所の特に判断推理の場合少し時間をかけてでも解けるように練習しておくのがベターかと思います。
教養科目 知識科目
範囲が広い割に傾向も掴みづらく、難解な場合も多い、更に科目につき1問しか出ないというコスパの悪さなので裁判所専願であればそこまで時間をかけるべきではないといえます。
たいがさんが大学受験の時に選択していた科目は(日本史等)確実に解けるように、あとサブ科目として何科目か用意しておく、くらいの心持ちでいいかと思います。
ただし思想、地理、政治、生物、地学、化学は知識科目の中だとかなりコスパがいい方だと思うのでオススメです。
専門記述
3月から始めて20論点くらい暗記しましたが、来年は統治分野の出題が濃厚なのでここまでやらなくていいかなと思います。
たまには手を動かす練習をした方がいいですが、書いてると時間がかかるので、スマホやパソコンに打ち込んで毎日2,3論点1時間で終わらせる、というイメージでやっていました。
教養論文
裁判所の教養論文はテーマの予想が全く出来ないため他の試験種を受けるのであれば普段の論文対策をしていれば他に対策する必要はありません(というよりはしたくても出来ない、が正解かと思います)
もし裁判所専願であれば予備校の講師に相談して頂いたり、予備校に通われないのであれば文章を書く練習と、その文章を誰でもいいのでとにかく見てもらう、という練習をしておけばいいかと思います。
実際の過去問
5年分解きました。3月中旬くらいからです。
ただし近年民法改正があったため、民法の過去問には注意が必要です。
知識を入れる、というよりは時間感覚を掴むことを意識して解く練習、3時間の教養試験に慣れる、という感じで解いて頂くのがいいかと思います。
面接対策
公務員の中でも唯一司法を扱うということで相当特殊なため対策が難しい上に深堀が多い厄介なタイプです。
以前は志望動機の深堀が多かったようですが、今年はシャカチカガクチカ、性格に対しての深堀が多かったようです。ですが志望動機もしっかり作り込むことは必要です。
裁判所の仕事ややりたい仕事について聞かれたらしっかり答えられるように、また、面接カードの項目が多いので面接カードに関することは何をどの角度から聞かれてもいいように準備しておくこと、既卒の場合は前職のことは特にいくら準備しても無駄にならないかと思います。
また、裁判所に関わる時事(判決や司法制度改革など)やそれに対する考えもまとめておくと安心して面接に臨めると思います。
ちなみに面接カードについては3月くらいに1度完成させておくと心に余裕が持てるかと思います。
面接練習は私は全部で10回程度行いました。